【医学部で学ぶということ】臨床実習:麻酔科

 

1週間の麻酔科実習が終わりました。

 

 

麻酔科は手術中の麻酔およびバイタルのコントロールを担当する科です。

外科医ではないのですが、手術室が主な仕事場です。

 

 

 

麻酔というのは人間が本来持つ機能を麻痺させる処置で、死なない程度に毒を盛っているのと一緒です。

特に全身麻酔は意識もなくなり、循環機能も低下し、死ぬ一歩手前まで人間の機能を低下させる処置です。

 

麻酔科医は、術中の患者を死ぬか死なないかギリギリのところでキープしておく役割を負っているのです。

麻酔薬の注入だけでなく、血圧や呼吸数などバイタル全般を管理します。

 

 

 

麻酔科医は外科医よりも早く手術室に入り、患者に挿管したり麻酔をかけたりします。

術中はバイタルをモニターして、手術が安全に行われるようにコントロールします。手術が終わると麻酔を解いて抜管します。

分かりやすく言えば、手術が始まる一番最初から、終わる最後まで仕事があるのです。

 

 

 

麻酔というのは導入と離脱がリスクが高く、かかっている最中は比較的安定しています。

飛行機が離陸と着陸で事故が起こりやすく、飛んでいる最中は比較的トラブルが少ないことと似ています。

 

一方で、麻酔がかかっている最中はまさに手術を行っているわけですから、大きな血管を傷つけてしまった、などの理由でバイタルの変化が起こることもあります。

このため、麻酔そのものはかかっている最中は安定しているものの、実際には術中に一番事故が起こりやすいため、麻酔科医は気が抜けません。

 

 

 

麻酔科医は手術中の麻酔だけでなく、癌など難病で苦しむ患者さんの疼痛緩和も行います。

ペインクリニックと呼ばれます。

医学が進んでも治すことのできない病気はまだあり、そうした患者さんには緩和医療が行われます。

なるべく安らかに最期を迎えられるように処置をすることも、医療者の重要な役割です。

 

 

 

アメリカでは麻酔看護師という職種が導入されており、麻酔科医の指導のもと、州によっては麻酔看護師だけで麻酔を行う場合もあるそうです。

麻酔科の仕事はトラブルがなければ、手技を身に着けた看護師でも務まるのですが、いざトラブルが発生した時に適切な対処ができるかといわれると、不安な面もあります。

日本でも議論されていますが、麻酔科学会は反対しており、いまのところ日本では導入する様子はないようです。

 

 

 

次は泌尿器科です。

 

 

「医学部で学ぶということ」記事一覧

 

「現役医学部生のブログ」記事一覧