【医学部で学ぶということ】臨床実習:泌尿器科
1週間の泌尿器科実習が終わりました。
大学病院の泌尿器科では、前立腺がん、膀胱がん、腎癌などの悪性腫瘍や、小児の先天奇形など高度な手術を伴う疾患を主に治療しています。
泌尿器科は外科系なので手術見学が主なのですが、ダヴィンチと呼ばれる手術ロボットを用いているということで期待していました。
ダヴィンチは4本のアームからなる本体部分と、それを操作するコンソールから構成されています。
術者はコンソールの前に座ってレンズをのぞくと、3Dの内視鏡映像を見ることができ、これを見ながら手元のコントローラーでアームの操作を行います。日本ではまだ前立腺がんにしか使用されていませんが、開発国のアメリカでは様々な手術に用いられています。
従来の内視鏡で用いる鉗子と比べて、ロボットアームは精密で複雑な操作を行うことができ、術者にとって大きなメリットがあります。
前立腺がんの手術のように血管を傷つけないように細心の注意を払う必要のある手術には特に向いており、ダヴィンチが真っ先に導入されたのはそのためです。
以前は4~5時間かかっていた手術が2時間で終わるようになり、手術による体の負担を最小限にできることから術後の回復も早くなりました。
現在日本では急速にダヴィンチが導入されており、保有数はアメリカに次ぐ2位となっています。
(ちなみに値段は米国向けの2倍以上の約3億円と、かなり足元をみられているそうです!)
もうひとつ泌尿器科には非常に面白い治療が行われています。
膀胱がんの治療法なのですが、結核予防に用いられるBCGを膀胱に注入し、免疫細胞を活性化することで癌を治すのです。
切ったり放射線を当てたりしなくても完治させることができるというのは驚きですね。
こうした人間が本来持っている免疫機構を利用して癌を治療するというアプローチは、近年大変注目されている治療法です。
免疫というと病原菌に対抗するためのメカニズムだというイメージがあるかもしれませんが、実はがん細胞を攻撃のターゲットにすることもできるのです。
次は検査部を回ります。