初期研修マッチングは5年生から準備|病院見学・選考対策

初期研修マッチングは医学部5年生から準備!病院見学・選考対策の完全ガイド【2026年度データ付き】

CES医師国試予備校|最終更新:2026年11月6日|監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)

初期臨床研修のマッチングは、医学部6年生になってから考えればよいのでしょうか。

結論からいえば、医学部5年生から準備を始めることをおすすめします。病院見学、研修プログラムの比較、臨床実習での経験整理など、時間をかけて取り組むほど自分に合った研修先を判断しやすくなるからです。

この記事の結論

  • 5年生は病院研究と見学、6年生は応募書類・採用試験・面接・希望順位登録が中心です。2026年度は6月4日に参加登録が始まり、10月22日に結果が発表されました。
  • 2026年度は希望順位登録者9,789人のうち850人がアンマッチ(マッチ率91.3%)。第1希望でマッチした人はマッチ者の59.0%でした。
  • 学生1人あたりの登録プログラム数は平均5.30で、2023年度の4.35から増えています。登録できるのは選考を受けたプログラムだけなので、複数の病院を見学・受験する前提で準備しましょう。
  • 地域枠・修学資金などで従事要件がある人は、選考の過程で病院に申し出ることが参加規約で定められています。
マッチ率(2026年度)
91.3%
アンマッチ850人
第1希望でのマッチ
59.0%
マッチ者8,939人中
平均登録プログラム数
5.30
2023年度は4.35
参加登録の開始
6/4
2026年度の実績

1.なぜ医学部5年生から準備するのか

初期臨床研修マッチングは、医学生と研修病院の双方の希望順位を組み合わせ、一定のアルゴリズムによって研修先を決定する制度です。

2026年度のマッチングでは、希望順位登録者9,789人のうち850人がアンマッチとなりました。マッチ率(マッチ者数÷希望順位登録者数)は91.3%です。この数字は、医学部を卒業する予定であっても、希望する研修先が必ず決まるわけではないことを示しています。

さらに、学生が希望順位表に登録するプログラムの数は年々増えています。希望順位表には選考手続きを完了した研修プログラムしか登録できないため、登録数が増えるということは、それだけ多くの病院を見学・受験していることを意味します。

図1.学生1人あたりの平均希望順位登録数の推移
2023年度

4.35

2024年度

4.62

2025年度

5.22

2026年度

5.30

出典:医師臨床研修マッチング協議会「令和6年度」「令和8年度 研修医マッチングの結果」(表1、厚生労働省掲載)。単位はプログラム数。

特に都市部の人気病院では応募者が集中する場合があります。2026年度の定員充足率は、大阪府・兵庫県で99.0%でした(当校計算)。一方、地方にも特色ある研修プログラムが数多くあります。5年生から準備する利点は、病院の知名度だけで判断せず、複数の研修環境を比較する時間を確保できることです。

2.医学部5年生から6年生までの準備ロードマップ

以下は、一般的な医学部の進行を想定した当校の推奨スケジュールです。大学ごとの実習日程や病院の募集時期に合わせて調整してください。

時期 取り組むこと 到達目標
5年生 4〜6月 研修制度の理解、病院情報の収集、学習記録の開始 候補病院の一覧作成
5年生 7〜9月 夏季休暇を利用した病院見学 研修環境の比較
5年生 10〜12月 追加見学、研修医への質問 志望先の絞り込み
5年生 1〜3月 志望理由の整理、面接準備、春休みの見学 応募候補の具体化
6年生 4〜6月 応募書類の準備、マッチングの参加登録 応募手続きの開始
6年生 7〜8月 病院ごとの採用試験・面接(時期は病院ごとに異なる) 選考への対応
6年生 9〜10月 希望順位登録・中間公表の確認・結果確認 研修先の決定

※当校の推奨スケジュールです。採用試験の時期や見学の受入時期は病院ごとに異なります。

6年生の後半は、マッチングの手続きと卒業試験・医師国家試験の準備が重なります。2026年度の実際の日程は次のとおりでした。翌年度の日程は、必ず協議会の公式発表を確認してください。

図2.2026年度 研修医マッチングのスケジュール(実績)

2026年6月4日(木)
参加登録開始
大学から配付されるIDで参加登録します。

7月30日(木)
参加登録締切

9月10日(木)
希望順位登録の受付開始
選考を受けたプログラムを順位付けして登録します。

9月24日(木)/25日(金)
中間公表前の締切/中間公表
各プログラムを第1希望にしている人数が公表されます。

10月8日(木)
希望順位登録の最終締切

10月22日(木)
組合せ結果発表
マッチしなかった場合は二次募集へ。

出典:北海道「2026年度医師臨床研修マッチングスケジュール」(時刻はいずれも14時)。

マッチングと国家試験対策の優先順位の考え方は「医師国家試験とマッチングの優先順位は?」で、筆記試験・小論文の対策は「【医学部5・6年生】マッチング対策ガイド」で解説しています。

3.病院見学はいつから?何を確認する?

病院見学は医学部5年生から始めると、複数の研修病院を比較する時間を確保しやすくなります。

ただし、見学可能な学年、日程、受入人数は病院によって異なります。たとえば、医学部4〜6年生を対象とする病院(堺市立総合医療センター)もあれば、学年を問わない病院(厚生労働省の見学案内に掲載された岩手県立中央病院)もあります。申込期限を「見学予定日の3週間前まで」とする病院(市立札幌病院)もあるため、各病院の公式サイトで条件を早めに確認しましょう。

見学前に調べておきたいこと

  • 初期研修プログラムのローテーション
  • 救急外来や当直の経験機会
  • 指導医による教育体制
  • 研修医の人数と指導体制
  • 給与・宿舎・休日などの勤務条件
  • 研修修了後の進路

見学時に研修医へ質問したいこと

質問例

  1. 研修開始後、どのような場面で指導医からフィードバックを受けられますか。
  2. 救急外来では研修医がどこまで主体的に診療に参加できますか。
  3. 研修で最も成長を実感した経験は何ですか。
  4. 研修と自己学習の時間をどのように確保していますか。
  5. 見学前の印象と実際の研修生活で違いはありましたか。

見学後は、印象だけでなく、確認できた事実と自分の評価を分けて記録しましょう。次のような記録表を病院ごとに作っておくと、6年生で応募先を絞るときに比較しやすくなります。

図3.病院見学の記録表(記入例)
項目 確認できた事実 自分の評価(5段階)
ローテーション 1年目に内科24週・救急12週 ★★★★☆
救急・当直 研修医が初期対応し、上級医が確認する ★★★★★
指導体制 週1回、指導医との振り返りがある ★★★★☆
勤務条件 宿舎あり、当直は月4回程度 ★★★☆☆
研修後の進路 多くが同院の専門研修に進む ★★★☆☆

当校作成。記入内容は説明用の架空例です。

4.自分に合った初期研修病院の選び方

研修病院は、大学病院と市中病院(臨床研修病院)という区分だけで優劣を決められるものではありません。診療科の構成、患者層、指導体制、研修医の裁量、救急医療の体制など、病院ごとの特徴を比較することが重要です。

比較項目 確認するポイント
診療経験 症例、救急、診療科の幅
教育体制 指導医、振り返り、評価方法
勤務環境 当直、休日、労働時間
生活環境 宿舎、通勤、生活費
将来の進路 専門研修への接続、地域との関係

なお、2026年度の結果を見ると、臨床研修病院は募集定員の62.2%を占める一方、第1希望者の79.1%が臨床研修病院に集まっています。市中病院を志望する場合は、競争が生じやすいことを前提に、複数の病院を比較しておきましょう。

図4.臨床研修病院と大学病院の比較(2026年度)
第1希望者に占める割合募集定員に占める割合
臨床研修病院

79.1%

62.2%

大学病院

20.9%

37.8%

定員充足率(当校計算):臨床研修病院89.0%、大学病院77.7%

出典:医師臨床研修マッチング協議会「令和8年度 研修医マッチングの結果」(2026年10月22日、厚生労働省掲載)(表4)

病院の知名度だけでなく、自分が2年間でどのような医師になりたいのかを判断基準にしましょう。

5.CBT・臨床実習・学業成績はマッチングに影響する?

CBTや学業成績を選考でどの程度評価するかは、病院によって異なります。CBTスコアの提出を求める病院もあれば、面接、筆記試験、臨床実習での経験などを組み合わせて評価する病院もあります。そのため、CBTの成績だけでマッチングの結果が決まると考えるのは適切ではありません。

一方、臨床実習で経験した症例や、患者・医療スタッフとの関わりから学んだことは、志望理由や面接回答の具体性を高める材料になります。

5年生から実践したい学習記録

記録する内容 6年生での使い道
印象に残った臨床症例 面接の「印象に残った症例」への回答
指導医から受けた助言 志望理由・目指す医師像の根拠
医療チームの中で学んだこと チーム医療に関する質問への回答
自分の知識不足を感じた場面 研修で身に付けたい能力の具体化
改善のために取り組んだこと 成長の過程を示すエピソード

患者を特定できる個人情報は記録せず、学習内容を匿名化して整理してください。

6.6年生の応募書類・面接に向けた準備

初期研修の面接では、志望理由や将来の進路、臨床実習での経験について質問されることがあります。

志望理由の基本構成

  1. 初期研修で身に付けたい能力
  2. 応募病院の研修プログラムの特徴
  3. 自分の経験や将来像との関連

回答例(架空の例)

「私は初期研修で、救急患者に対する初期対応能力を身に付けたいと考えています。臨床実習では、限られた情報から優先順位を判断することの難しさを実感しました。貴院の研修プログラムでは救急診療を経験する機会が設けられており、指導医のもとで学べる点に魅力を感じています。」

※説明用の架空例です。暗記せず、実際の病院の教育内容と本人の経験に置き換えてください。

面接練習で確認すること

  • 結論から回答できているか
  • 質問に対して具体的に答えているか
  • 回答が長くなりすぎていないか
  • 病院の研修内容を理解しているか
  • 自分の経験を振り返れているか

面接で不採用になる原因と改善策は「初期研修の面接で落ちる原因とは?」で詳しく解説しています。

7.希望順位登録で注意すること

マッチングでは、学生と病院の双方の希望順位に基づいて組合せが決定されます。学生は、自分が実際に研修したい順番を基本として希望順位を検討することが重要です。「人気病院だから順位を下げる」「採用されそうだから本来の希望より上に置く」といった判断をする前に、協議会の公式のアルゴリズム解説を確認しましょう。

協議会の参加規約(参加者用)には、希望順位表について次のような決まりがあります。

決まり 内容 2026年度の日付
登録できるプログラム そのプログラムの選考手続き(応募・面接・試験等)を完了したものに限る ―
病院との話し合いの禁止 自分の希望順位表の順位について、参加病院と話し合わない ―
中間公表前の登録 中間公表の前日までに希望順位表を提出することが望ましい 9月24日(木)14時
最終締切 登録・追加・修正は最終締切までに完了する 10月8日(木)14時
マッチ後の契約 組合せが決まったら速やかにその病院と仮契約する(原則、ほかの病院とは仮契約できない) 10月22日(木)以降

出典:医師臨床研修マッチング参加規約(参加者用)改正案(厚生労働省 医道審議会資料)、北海道「2026年度医師臨床研修マッチングスケジュール」。規約は年度ごとに確認してください。

希望順位登録の締切を過ぎると、原則として変更できません。入力内容を確認し、期限までに登録を完了してください。医師臨床研修マッチング協議会・公式サイト

8.アンマッチを想定した準備も必要

2026年度のマッチングでは850人がアンマッチとなりました。人気病院だけに応募する場合、希望する病院で研修先が決まらない可能性も考えておく必要があります。5年生の段階から、第一希望群だけでなく、別の地域や研修環境にも目を向けておくことが重要です。全国の統計は「2026年度初期研修マッチング結果」、アンマッチ後の動き方は「初期研修でアンマッチになったら?」で解説しています。

地域枠・修学資金の勤務義務がある場合

地域枠や修学資金制度などによる勤務義務がある場合は、大学・関係機関に制度を確認してください。マッチングの参加規約では、臨床研修中に地域や病院での従事要件がある人は、選考の過程でその旨を病院に申し出ることとされています。また厚生労働省は、研修希望者が地域枠の場合、病院が従事要件と研修プログラムに齟齬がないかを確認したうえで順位登録するよう求めています。

都道府県が認定する「地域密着型臨床研修病院」では、従事要件のある人を対象に、一般のマッチングより前に採用を決める「地域枠等限定選考」を行える仕組みもあります(山形県の資料)。対象になるかどうかは、大学や都道府県の担当窓口に確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q.初期研修マッチングの準備はいつから始めるべきですか?

A.医学部5年生から病院研究や見学を始めることをおすすめします。6年生になると臨床実習・卒業試験・採用試験が重なり、見学に使える時間が限られるためです。ただし、見学を受け入れる学年や時期は病院ごとに異なります。

Q.病院見学は何施設くらい行けばよいですか?

A.全国共通の適切な施設数はありません。2026年度のマッチングでは、学生1人あたり平均5.30の研修プログラムを希望順位表に登録しています。希望順位表には選考を受けたプログラムしか登録できないため、受験する病院を比較できるだけの見学を計画しましょう。

Q.CBTの成績が悪いとマッチングに不利ですか?

A.病院によって評価方法が異なります。CBTの成績の提出を求める病院もあれば、面接や筆記試験、臨床実習での経験などを組み合わせて評価する病院もあるため、応募先の募集要項を確認してください。

Q.大学病院と市中病院のどちらがおすすめですか?

A.一概には決められません。研修内容、指導体制、将来の進路などを比較しましょう。なお2026年度は、第1希望者の79.1%が臨床研修病院(市中病院)を選んでおり、定員の充足率は臨床研修病院89.0%、大学病院77.7%でした。

Q.5年生から面接対策を始める必要はありますか?

A.本格的な模擬面接を急ぐ必要はありませんが、臨床実習での学びや志望理由を記録・整理しておくと、6年生の書類作成や面接の準備がスムーズになります。

Q.地域枠や修学資金の勤務義務がある場合、何に注意すればよいですか?

A.マッチングの参加規約では、臨床研修中に地域や病院での従事要件がある人は、選考の過程でその旨を病院に申し出ることとされています。応募前に大学や修学資金の貸与元に、研修できる病院・地域の条件を確認しましょう。

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医学部5年生は、臨床実習、学内試験、将来の進路選択など、取り組むべき課題が多い時期です。CES医師国試予備校では、学習状況に応じてCBT・OSCE・進級試験・卒業試験・医師国家試験対策を医師講師による完全マンツーマン指導で行っています。マッチング面接や応募書類の支援については、対応可能な講師・指導内容をお問い合わせください。

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執筆・編集:CES医師国試予備校 講師チーム

監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)— 医学部・医療系国家試験の受験指導に30年以上携わり、CES医師国試予備校をはじめとする個別指導予備校を運営。

最終更新日:2026年11月6日(掲載データは各出典の公表時点のものです)

参考文献・一次情報