医学部の留年率は約15%|5人に1人が6年で医師になれない現実と対策
医学部生の割合
確率(全国平均)
国公立の約4倍
CONTENTS
1. 医学部の留年率はどれくらいか
2. 国公立と私立で留年率は違うのか
3.「6年で医師になれる確率」という考え方
4. なぜ医学部は他学部より留年が多いのか
5. 留年しやすい学年とその理由
6. 6年次留年(卒試留年)という見えにくい壁
7. 留年率は年々厳しくなっているのか
8. 留年から放校へ ── 知っておくべきリスク
9. 留年を防ぐために今できること
10. CES医師国試予備校の現場から ── 指導実績に基づく知見
11. まとめ
1. 医学部の留年率はどれくらいか
文部科学省が公表している「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」によると、全国の医学部における6年間のストレート卒業率は、全体平均でおよそ84〜85%です(令和5年度データ)。裏を返せば、医学部に入学した学生の約15%が、6年間で卒業できていないのです。
令和5年度(2023年度)医学部データ概要
ここで重要なのは、「約15%」にはいわゆる留年だけでなく退学・休学も含まれる点です。純粋な「留年のみ」の全国統計は公表されていないため、ストレート卒業率を逆算して把握するのが現状の方法です。大学によるばらつきは非常に大きく、ストレート卒業率90%台後半の大学から60%台の大学まで、約40ポイントもの開きがあります。
※出典:文部科学省「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」
2. 国公立と私立で留年率は違うのか
結論から言えば、私立医学部のほうが国公立よりストレート卒業率が低い傾向にあります。
国公立医学部
進級判定が比較的緩やかな大学が多い。ただし卒業後の国試合格率がやや下がる大学も存在する。
私立医学部
進級・卒業判定が厳格。特に6年次の卒試による留年が国公立の約4倍多い。
この差は「私立のほうが学生の質が低い」ことを意味しません。むしろ、私立医学部は国家試験合格率を高く維持するために卒業判定を厳しくしているという構造的な要因があります。一方で、国公立でも東京大学・京都大学など進級率が低い大学があり、偏差値の高さと留年率の低さは必ずしも一致しません。
3.「6年で医師になれる確率」という考え方
留年率を考えるとき、もう一歩進んで注目すべきが「6年間で医師になれる確率」です。
FORMULA
6年で医師になれる確率 = ストレート卒業率 × 国試合格率
81.3%
医学部入学者の約5人に1人が、6年間で医師免許を取得できていません。2023年度の82.1%からさらに低下しており、医師への道は年々険しくなっています。
この確率が高い大学としては、金沢大学(97.40%)、自治医科大学(96.92%)、鹿児島大学(93.41%)などがあります。一方で60%台にとどまる大学もあり、大学選びの段階から意識すべき数字です。
4. なぜ医学部は他学部より留年が多いのか
医学部の留年率が他学部と比較して高い理由は、複数の構造的な要因が重なっています。
必修科目を「1科目でも落としたら留年」
一般の学部では単位の取りこぼしがあっても進級できることが多いですが、医学部の多くでは必修科目を1つでも落とすと即留年です。科目数が膨大なため、すべてクリアするハードルが非常に高くなります。
圧倒的な学習量と「自走力」の欠如
6年間で学ぶ医学知識は膨大であり、講義・実習・レポート・試験が途切れなく続きます。それまで予備校のカリキュラムに沿って学んできた学生にとって、自力でスケジュール管理する「自走力」が身についていないケースが少なくありません。
大学側の「国試合格率維持」戦略
大学にとって国試合格率は志願者を集める生命線です。合格率を高く見せるために進級・卒業判定を厳格化し、学力不足と判断した学生を進級・卒業させないケースがあります。
全単位取り直し制度の罠
留年すると全単位の取り直しを求める大学があります。以前合格した科目の勉強に時間を奪われ、本来の弱点対策が不十分になり、再留年の悪循環に陥るリスクがあります。
5. 留年しやすい学年とその理由
留年は特定の学年に集中します。特に注意が必要なのは2年生と6年生です。
6. 6年次留年(卒試留年)という見えにくい壁
医学部の留年を語る上で見落とされがちなのが「6年次留年者」の存在です。6年間ストレートで進級したにもかかわらず、卒業試験に不合格となり最後の最後で留年する学生を指します。
この数字は、医師国家試験の「出願者数」と「受験者数」の差分から推定できます。多くの大学では国試出願締切が11月末であるのに対し、卒試の最終判定は12月末〜1月。出願後に卒試に落ちると受験資格を失うため、この差分が「卒試留年者」に相当するのです。
KEY INSIGHT
私立医学部の6年次留年者数は国公立の約4倍(私立平均約3.0人、国公立平均約0.7人)。これは国試合格率維持のために卒試を厳しく運用している結果です。つまり、1〜5年次の進級率だけでは、医学部の本当の留年リスクは把握できません。
卒業試験の内容は大学ごとに大きく異なり、国試対策だけでは不十分なケースも多々あります。大学固有の卒試対策を並行して行う必要があり、6年生にとって大きな負担となっています。
7. 留年率は年々厳しくなっているのか
全体として年度ごとに微増減を繰り返しながらも、厳格化の方向に向かっています。
「6年で医師になれる確率」の推移
2024年度からのCBT公的試験化や臨床実習時間の増加(=座学時間の減少)が今後さらに影響を及ぼす可能性があります。また年度によって大幅に順位を入れ替える大学も多く(例:鹿児島大学が27位→3位に躍進、神戸大学は1位→23位に後退)、複数年の推移を見ることが重要です。
8. 留年から放校へ ── 知っておくべきリスク
留年自体は正しい対策で立て直せます。しかし対応を誤ると「放校」という深刻な事態に直結します。
⚠ WARNING
放校とは:同一学年で2回留年した場合や、在学年限(多くの大学で12年)を超えた場合などに、大学側の判断で在学資格が取り消される処分です。
最も多いパターン:最初の留年で適切な対応をしなかったために学習法が改善されず、翌年も不合格 → 2年連続留年で放校。放校に至るケースの大半は、最初の留年時の対応不足が原因です。
私立医学部では1年の留年で追加の学費(数百万円〜1,000万円以上)、さらに生涯賃金の逸失分を含めると、留年1回あたりの経済的損失は計り知れません。最初の留年をしないこと、そして留年してしまった場合は次の1年で確実に立て直すことが何より重要です。
9. 留年を防ぐために今できること
① 暗記から「理解」へ学習法を転換する
「なぜそうなるか」という機序を理解することで、出題の切り口が変わっても対応でき、暗記量も大幅に減らせます。これは低学年から意識するほど効果が大きくなります。
② 苦手科目を放置しない
医学部の科目は相互に関連しています。基礎医学の理解が不十分なまま臨床に進むと、すべてが暗記項目になってしまいます。苦手は早い段階で潰すことが将来の留年リスクを下げます。
③ 学習計画を「逆算」で立てる
試験日から逆算し、各科目への時間配分を計画的に管理すること。「何となく勉強する」のではなく「いつまでに何をどのレベルまで」を明確にしましょう。
④ 早めに外部サポートを活用する
進級に不安を感じ始めた段階で、医学部専門の予備校やマンツーマン指導を検討するのは有効な選択肢です。大学の授業だけでは追いつかない部分を、経験豊富な講師に質問できる環境があると、学習効率が大きく変わります。
10. CES医師国試予備校の現場から ── 指導実績に基づく知見
11. まとめ
✓ 全国平均ストレート卒業率は約85%。約15%の学生が6年で卒業できていない。
✓ 私立は国公立より約6ポイント低い。卒試留年の影響が大きい。
✓「6年で医師になれる確率」は全国平均81.3%。5人に1人が足踏みしている。
✓ 留年しやすいのは2年生(基礎医学の壁)と6年生(卒試の壁)。
✓ 放校に至るケースの大半は、最初の留年時の対応不足が原因。
✓ 暗記から理解への転換と、自己評価のズレの矯正が鍵。
留年は決して珍しいことではありませんが、放置すれば放校という深刻な結果を招きかねません。データを正しく理解し、自分の状況に合った対策を「早め」に「正しい方法で」講じることが、医師への道を確実にする最善の戦略です。
CONTACT
進級に不安を感じたら、早めのご相談を
CES医師国試予備校は完全マンツーマン指導で医学部生の進級対策をサポートしています。「理解を深める勉強法」への転換と、講師による客観的なフィードバックで、確実な進級を目指しましょう。
RELATED ARTICLES
▶ 医学部で留年したらどうする?原因分析から進級までの具体的な対策法
▶ 医学部の放校とは?放校からの復学方法と試験対策(準備中)
▶ CBTに不合格 ── 再試験対策と留年回避のポイント(準備中)
