【医師国家試験予備試験】第4回 一部試験合格までに実践した勉強法

前回の記事では、2025年6月に実際に受験した医師国家試験予備試験一部試験の印象について紹介しました。生化学や生理学の難しさ、そして公衆衛生や法医学が得点源になり得ることなど、受験して初めて実感した点について触れました。

今回は、一部試験合格までに私自身が実践していた具体的な勉強方法について紹介します。海外医学部から日本の医師国家試験予備試験を目指す場合、どのように学習を進めていけばよいのか分からず悩む方も多いと思います。ここで紹介する方法はあくまで私個人の経験に基づくものですが、これから受験を考えている方にとって一つの参考になれば幸いです。

勉強開始のタイミング

まず重要になるのが、勉強を開始するタイミングです。私自身の経験から言うと、一部試験の1年半前、遅くとも1年前には勉強を開始する必要があると感じました

医師国家試験予備試験の一部試験は、基礎医学を中心とした非常に広い範囲が出題されます。解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学、微生物学、免疫学、公衆衛生、法医学など、ほぼすべての基礎医学分野が対象となります。そのため、短期間で詰め込む学習では対応が難しいと感じました。

私の場合は、医学部卒業後に本格的な勉強を開始しました。海外医学部では、在学中は授業や試験、臨床実習などで時間が制約されるため、日本の試験対策に十分な時間を確保することが難しい場合もあります。そのため、卒業後に一定期間を確保して学習に集中するという方法も現実的だと思います。

また、一部試験を受験する前には受験資格認定の手続きが必要です。海外医学部卒業者の場合、この手続きを完了させたうえで受験準備に入ることになります。そのため、まずは受験資格認定を済ませ、その後に本格的な試験対策を開始するという流れが現実的だと感じました。

さらに、卒業した国によっては手続きに時間を要し、受験勉強に十分に集中できない期間が生じる可能性もあります。そのため、スケジュールには余裕を持ち、手続きと並行して無理のない形で学習を進めていくことが重要だと感じました。

1日の勉強時間

勉強時間については、1日10時間前後を目安に取り組んでいました。基礎医学は範囲が非常に広いため、まとまった学習時間の確保が必要になります。

また、平日と土日で勉強時間に大きな差をつけるのではなく、毎日同じペースで継続することを意識していました。勉強時間にばらつきがあると学習リズムが崩れやすくなるためです。特に長期間にわたる学習では、安定したペースを維持することが重要だと感じました。

もちろん、生活状況によって確保できる時間は人それぞれですが、基礎医学を一から整理する場合には、ある程度集中的に取り組む期間が必要になると思います。

独学を基本とした学習

私自身は独学を基本として勉強を進めていました。まず、厚生労働省に問い合わせて過去10年分ほどの医師国家試験予備試験の問題を取り寄せるところからスタートしました。海外医学部では、日本の国家試験対策を体系的に学べる環境がほとんどないため、多くの場合、自分で学習計画を立てる必要があります。

一方で、必要に応じてオンライン講座も活用しました。具体的には、医師国家試験予備校各社が提供する基礎医学講座を利用しました。これらは日本の医学生向けに作られており、日本の試験で重視されるポイントが整理されています。

海外医学部で英語の教科書を中心に学んできた場合、日本の試験で何が重要なのかを把握するのは容易ではありません。その点で、日本の国家試験対策講座は理解の補助として有用だと感じました。

勉強の順番

基礎医学は科目数が多いため、学習の順序も重要になります。私は、科目ごとに細かく順番を決めるのではなく、関連性の高い科目をいくつかの「群」として捉え、段階的に学習を進めていく方法を取りました。

具体的には、以下のように大きく3つの群に分けて考えていました。

  • A群:解剖学・生理学・薬理学(その後に生化学)
  • B群:免疫学・微生物学(その後に病理学)
  • C群:公衆衛生・法医学

まずA群として、解剖学・生理学・薬理学といった基礎の中心となる科目を学習し、その理解を踏まえて生化学へと進みました。これらの科目は相互に関連している部分が多く、まとめて学習することで理解が深まりやすいと感じました。

次にB群として、免疫学と微生物学を学び、その知識を基盤として病理学へと進みました。これらも相互の関連性が強く、流れを意識して学ぶことで効率よく整理することができました。

最後にC群として、公衆衛生と法医学に取り組みました。これらは他の基礎医学科目と比較すると独立した分野であるため、学習のタイミングを柔軟に調整しやすい科目でもあります。また、比較的得点源になりやすい科目でもあるため、状況によっては早い段階で取り組み、学習のペースをつかむという戦略も有効だと思います。

過去問中心の学習

学習の軸は過去問でした。まず過去問を解き、不明点を参考書で補うという流れで進めていました。

医師国家試験予備試験の過去問は、厚生労働省に問い合わせることで入手可能です。過去問を繰り返すことで、出題傾向や重要分野が徐々に見えてきます。

参考書は最初から通読するのではなく、過去問に関連する箇所を中心に確認し、その周辺知識を拾っていくように意識していました。基礎医学の教科書は分量が多いため、必要な部分に絞って効率的に活用することが重要だと感じました。

使用した参考書

オンラインのビデオ講座以外で使用していた主な参考書は以下の通りです。あくまで私が使用した参考例として捉えていただければと思います。

解剖学

・イラスト解剖学

生化学

・シンプル生化学
・休み時間の生化学

生理学

・シンプル生理学
・新生理学

薬理学

・新薬理学
・休み時間の薬理学

免疫学

・休み時間の免疫学

病理学

・シンプル病理学

微生物学

・シンプル微生物学

法医学

・法医学関連のWebサイト

公衆衛生

・CBT・医師国家試験のためのレビューブック

いずれも通読ではなく、過去問に対応する形で使用していました。

復習方法

復習にはAnkiというアプリを使用していました。Ankiは復習ツールとして非常に有名で、すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、一問一答形式のカードを作成でき、忘却曲線に基づいて復習タイミングを管理できる点が特徴です。

基礎医学は暗記量が多いため、計画的に復習できるツールの活用は非常に有効でした。

また、科目ごとにノートも作成していました。自分の理解が不十分な部分を可視化できるため、復習の効率が上がったと感じています。

苦手科目への対策

苦手科目については、繰り返し復習することを徹底しました。基礎医学は暗記要素も多いため、反復が不可欠です。

やや極端に聞こえるかもしれませんが、基礎医学には暗記の側面も大きく、理解と同時に確実な知識の定着が求められると感じました。

日本語で学び直す

海外医学部では英語で学ぶことが一般的ですが、私は英語教材を用いず、日本語教材のみで学習しました。

試験は日本語で実施されるため、英語で理解した内容をその場で日本語に変換するのは負担が大きいと感じたためです。最初から日本語で学び直すことで、試験への適応がスムーズになりました。

勉強期間の目安

一部試験の範囲を考えると、半年程度の準備期間で合格することは不可能ではないものの、十分に対応するには厳しいと考えられます。基礎医学を体系的に整理するには、一定の時間が必要です。

また、一部試験は医師国家試験と比較すると、過去問からは比較的シンプルな出題が多い傾向も見られます。そのため、段階的には基礎医学の理解を優先した対策が重要であり、必ずしも医師国家試験の問題を中心に学習する必要はないと感じました。

FAQ

Q1:勉強はいつから始めるべきですか?
一部試験の1年半前、遅くとも1年前には開始することが望ましいと思います。
Q2:1日の勉強時間はどのくらいでしたか?
私の場合は1日10時間前後勉強していました。
Q3:独学でも合格できますか?
独学でも可能ですが、必要に応じてオンライン講座を利用するのも一つの方法です。
Q4:過去問はどこで入手できますか?
厚生労働省に問い合わせることで入手できます。。
Q5:英語教材は使いましたか?
私は使用せず、日本語教材のみで勉強しました。

次回は、これから医師国家試験予備試験を目指す方に向けて、受験前に整理しておくべきことや、この試験に挑戦する価値があるケースなどについてまとめていきます。

著者プロフィール

CES医師国試予備校 講師【K先生】

フィリピンの医学部を卒業後、日本での医師資格取得を目指して医師国家試験予備試験を受験。海外医学部出身者の立場から、試験制度や勉強方法、進路選択に関する情報を発信しています。