【2026年】第120回医師国家試験 総評|難易度と出題傾向・領域別対策まとめ

第120回医師国家試験総評

第120回医師国家試験(2026年2月実施)の出題傾向・難易度・領域別の対策ポイントを徹底講評します。試験全体の特徴から差がつくテーマ、内科・救急・公衆衛生・マイナー科の注意点まで、次回以降の医師国家試験対策にも役立つ情報を網羅的にまとめました。

試験全体の傾向(第120回の特徴)

第120回医師国家試験は、例年同様の傾向が維持され、全体としては過去問・類問の比重が高く、基本事項を積み上げた受験生が得点しやすい回でした。出題の骨格は例年と同様で、疾患の典型像、検査の優先順位、治療の第一選択など、王道の知識とプロセスを問う問題が中心です。

その一方で、近年の標準治療や制度、医療安全、働き方改革の問題や実臨床を学んでいないと正解できない問題が点在し、直近の過去問周回だけでは正解できない問題も含まれていました。近年同様に「医学部5〜6年生での臨床実習を真面目に取り組んでいたら得点できうる問題」を増やしたい意向が汲み取れます。

難易度の捉え方(体感差が出た理由)

難易度は「極端に難化」というよりも、「迷わせ方が増えた」方向です。必修は落とせない基本を素直に問う問題が多く、一般・臨床では選択肢の比較で悩ませる問題が混ざり、ブロックによって体感得点が上下しやすい設計でした。

知識があるほど「追加で検査したい」「念のため治療したい」という思考に引っ張られ、適応・緊急性・侵襲性の整理が甘いと取りこぼしやすくなります。英語問題は一定数ありますが、内容が難解というより、医療文脈の読解に慣れていれば処理できる範囲で、過去問経験がそのまま効きます。

差がつくテーマ(頻出の学び方が問われました)

(1) 頻出領域のアップデート

第120回のアップデート要素は、「未知の新薬を当てる」よりも、頻出疾患の診療フローに最新要素を混ぜる形が中心となりました。たとえば、慢性疾患の薬剤選択、心血管・代謝領域の治療の組み立て、感染症の治療選択などで、古い定番のままでは選べない場面が作られています。

膨大な知識をすべて網羅することは不可能であるため、最新情報をすべての疾患で網羅しようとせず、頻出領域に限定して、第一選択と次の一手、副作用と禁忌、条件(腎機能・妊娠・併用薬)をセットで把握するのが最も効率的です。

(2) やりすぎない判断(検査・治療をしない/急がない)

今回の臨床問題で象徴的であったのは、「むやみに追加の検査を行わない」ことを選ばせる場面が増えた点です。軽症、無症状、自然軽快が見込める状況、あるいは侵襲の高い検査を急ぐ必要がない状況で、説明と経過観察が適切かどうかが問われます。

本番の緊張下で「追加検査をしない」ことを選択するのは至難の業ですが、ここは暗記ではなく、判断の軸を持っているかが勝負となります。実戦で使える軸は、次の4点です。

実戦で使える判断の4つの軸

  • 緊急か(放置で致命的か、時間依存性が高いか)
  • 侵襲は妥当か(まず非侵襲で足りるか)
  • 結果で行動が変わるか(検査しても方針が変わらないなら不要)
  • 安全性と費用対効果(患者不利益が大きい選択を避ける)

この4点を毎問短く言語化できるようになると、知らない問題の落としどころも安定します。

(3) 説明・連携・制度運用(倫理・医療安全を含む)

近年の国試は、医学知識の正誤だけでなく「実際の臨床現場での対応」を混ぜる傾向があります。説明と同意、家族対応、多職種連携、相談先や届出など、医療安全・社会制度が絡む設問は、単発暗記では得点が安定しにくいです。

患者の置かれている状況を見たときに「誰に」「何を」「どの順で」するかを一文で説明できる形にしておくと対策として有効です。直前期は、ケース問題を解いた後に、選択肢の根拠を口頭で言えるかを確認するだけでも伸びます。

領域別のポイント(落とし穴の整理)

内科

内科は得点源ですが、薬物療法や標準治療が更新される領域では、古い定番が通らないことがあります。疾患ごとの診療アルゴリズム(第一選択・次の一手)と、薬剤の副作用・禁忌、腎機能や妊娠など条件別の使い分けを、過去問解説を軸に更新し続けるのが効率的です。細部の暗記を増やすより、「なぜその薬か」「どの条件で避けるか」をセットで整理すると、選択肢比較に強くなります。

救急

救急は細部より初期対応の型が重要です。ABCDE、ショックの鑑別、致死的疾患の除外、禁忌回避に戻れるかが勝負です。知識が増えるほど枝葉に入りやすいので、問題を解くときは「最初の5分で何をするか」「いま一番危ないものは何か」を必ず言語化してから選択肢を見る習慣が有効です。

公衆衛生

統計・予防・制度は定番ですが、運用(相談先、届出、支援、費用対効果)でひっかけが混ざります。統計問題などの数字が絡む問題は「計算できる」より「意味がわかる」ことが重要で、感度・特異度、陽性尤度比なども、定義と使いどころを短く言える形にしておくと安定します。

マイナー/産婦/小児

専門性が高い問題は一定数出ます。全部取りを狙うと時間を溶かしやすいので、典型・頻出・禁忌と緊急のラインを落とさない戦略が総得点を安定させましょう。難問は「捨てる」のではなく、「拾える型の問題を確実に拾う」意識が重要です。

総括 ― 第120回医師国家試験(120回国試)講評まとめ

120回医師国家試験は難化というよりも、選択肢の複雑化により受験生が最後の2~3択で迷う問題が増加し、結果として難化した様子となります。重箱の隅の知識よりも、いかに頻出疾患の治療法についてアップデートできているかが試された問題セットとなりました。

121回医師国家試験以降も知識のアップデートが正確に行われているかを問う問題は出題が継続するかと考えられます。受験生の方は知識の暗記はもちろんのこと、臨床実習等で最新の治療を学ぶように心がけましょう

著者プロフィール

東大医学部卒講師(現役医師)

略歴:

PMD医学部専門予備校およびCES医師国家試験予備校で講師として指導中。
医学教育・国試対策に関する豊富な実務経験をもとに監修・執筆を担当。