USMLEと日本医師国家試験はどう違うのか?

―出題思想・学習戦略・受験順の考え方―

海外での臨床研修や研究留学を視野に入れた際、多くの日本の医学生・若手医師が気になるのが、「USMLEと日本の医師国家試験はどれほど違うのか」「両立は可能なのか」という点です。
結論から言えば、両者は試験の思想も学習アプローチも大きく異なりますが、戦略的に準備すれば十分に両立可能です。本記事では、両試験の本質的な違いと、現実的な受験戦略について解説します。

USMLEと日本医師国家試験の出題思想・評価軸の違い

日本の医師国家試験は、「日本の医療現場で安全に初期研修を始められるか」を確認する試験です。そのため、ガイドラインに沿った標準的知識や、幅広い分野の網羅性が重視されます。学習法としては、過去問演習を中心に、出題パターンを把握することが高得点への近道となります。
一方、USMLEは「医学知識をどのように使って考えるか」を評価する試験です。単なる正誤判定ではなく、病態生理・診断・治療の因果関係をどれだけ論理的に説明できるかが問われます。そのため、暗記よりも理解が重視され、問題文も長く、臨床推論の過程そのものを試されます。
学習においても、「なぜそうなるのか」を常に言語化できるレベルまで掘り下げる必要があります。

USMLE Step1と日本医師国家試験の両立は可能か?

USMLE Step1と日本の医師国家試験の両立は可能です。実際には、Step1を主軸に学習を進め、不足する部分を2〜3か月かけて補うという形が最も効率的です。
Step1は基礎医学を深く理解することを求める試験であり、この過程で築いた病態生理の理解は、日本の医師国家試験対策にも大きく貢献します。
一方で、日本の国家試験特有の出題(制度、法律、統計的な細かい数値など)は、Step1対策だけではカバーできません。しかし、それらは短期間の集中的な対策で十分に補える内容であり、両立の大きな障害にはなりません。

USMLE Step2 CKと日本医師国家試験の両立は可能か?

USMLE Step2 CKと日本の医師国家試験の両立は、Step1よりもさらに容易です。Step2 CKは臨床医学が中心であり、診断・治療の考え方は日本の国家試験と大きく重なります。
そのため、Step2 CK対策をしっかり行っていれば、日本の国家試験の大部分は自然にカバーできます。
注意すべき点としては、公衆衛生、産科、小児科、そして一部のマイナー科目です。これらの分野では、日本の医師国家試験の方が知識の「幅」を広く求める傾向があります。しかし、これらも1か月程度の対策期間を設ければ十分に対応可能です。残りの分野は、Step2 CKで培った知識と思考法で問題なく対応できます。

国家試験とUSMLEはどの順番で受けるべきか?

受験の順番については、Step1・Step2 CKいずれの場合でも、可能であれば日本の医師国家試験より前にUSMLEを受験することをお勧めします。
理由は、英語で構築した医学知識のベースに、日本語の知識を当てはめていく方が効率が良いためです。日本語で覚えた知識を、後から英語で再構築する方が、時間と労力を要する傾向があります。
ただし、この順番が決定的な差を生むわけではありません。最も重要なのは、「受けられる環境にあるうちに、自分に可能なスケジュールで早めに受けておく」ことです。完璧な順番を考え続けるよりも、実際に一歩踏み出すことの方がはるかに重要です。

まとめ

USMLEと日本医師国家試験は、目的も評価軸も大きく異なる試験です。しかし、それぞれを独立したものとして捉えるのではなく、相互に補完し合うものとして戦略的に準備すれば、両立は十分に可能です。
将来の選択肢を広げるためにも、自身のキャリアプランに合わせて、無理のない形でUSMLEへの挑戦を検討してみてください。


 
著者プロフィール

CES講師:T先生

T先生は、東京大学医学部を卒業された医師です。

日本の医師免許に加え、アメリカの医師免許も保持されています。CES医師国試予備校のUSMLEコース講師。USMLE のStep 1対策からレジデンシーマッチング対策まで、幅広く担当されています。

その指導は、丁寧でわかりやすく生徒から高い評価を得ています。