第3回 2025年6月一部試験を受けて感じたこと
今回は、実際に2025年6月に行われた医師国家試験予備試験の一部試験を受験して感じたことについてまとめます。試験当日の雰囲気、実際に問われている力、難しいと感じた科目、そして受験を通して見えてきた試験対策のポイントを、受験者の視点から整理します。あくまで個人の経験に基づく内容ではありますが、これから受験を考えている方にとって、試験のイメージを持つ一助となれば幸いです。
試験当日の雰囲気
試験当日は、緊張感のある雰囲気の中で進行しました。受験者の人数は決して多くはありませんが、皆それぞれ長い準備期間を経て臨んでいるため、会場全体に独特の緊張感があったように感じました。
海外医学部出身の受験者にとっては、日本語で医学試験を受けるという点だけでも大きな挑戦です。普段英語の教科書で学習している場合、日本語の問題文を読むこと自体に時間がかかることがあります。そのため、問題文を正確に理解しながら解くことの重要性を改めて実感しました。
試験問題を解き始めてすぐに感じたのは、出題範囲の広さに加えて、基礎医学の中でも特に解剖学、生理学、生化学の出題内容の奥深さでした。これらの分野には相当な時間をかけて準備してきましたが、実際に問題を解く場面では非常に苦戦しました。自信を持って解答できた問題は決して多くなく、基礎的な理解の重要性を改めて実感しました。
その一方で、過去問を用いて学習してきた内容との間に大きな乖離はなく、出題傾向にも大きなズレは感じませんでした。これまでの学習の方向性自体は間違っていなかったと実感しました。
特に難しいと感じた科目
今回の試験で特に難しいと感じたのは、生化学と生理学です。
生化学では、単なる知識だけでなく、代謝経路や分子レベルの理解が求められる問題が出題されました。例えば、糖代謝や脂質代謝、アミノ酸代謝といった基本的な流れを理解していないと解きにくい問題も見られました。単語の暗記だけではなく、代謝経路同士のつながりを理解しておくことの重要性を感じました。
また、生理学も範囲が広く、理解を要する分野が多い科目です。循環、呼吸、神経、内分泌、腎機能など、それぞれの領域で生体の基本的な仕組みを理解していないと対応が難しい問題が出題されました。特に生理学では、単純な暗記ではなく「なぜそうなるのか」という理解が問われている印象を受けました。
海外医学部で英語の教科書を用いて学んできた場合、概念自体は理解していても、日本語表現に慣れていないことがあります。そのため、日本語の問題文を読みながら内容を把握することに、最初は戸惑いを感じる場面もありました。
得点源にすべき科目
一方で、試験対策として「確実に得点しておきたい」と感じた科目もありました。それが公衆衛生と法医学です。
これらの科目は、生化学や生理学のように複雑な生体メカニズムの理解を要する問題に比べ、比較的知識ベースの出題が多い印象があります。もちろん年度によって出題内容は変わる可能性がありますが、基本事項を整理しておくことで得点しやすい科目だと感じました。
特に公衆衛生は、日本の医療制度、疫学、保健医療政策などを含む分野です。海外医学部ではこれらを詳細に学ぶ機会が少ない場合もあるため、日本の教材を用いて意識的に学習する必要があります。統計や疫学の基本概念、医療制度の仕組みを整理しておくことで、安定した得点につながる可能性があります。
また、法医学は出題範囲が比較的限定されているため、対策を立てやすい科目の一つだと感じました。
試験で問われている力
一部試験を受験して感じたのは、単なる暗記ではなく「基礎医学の理解」が問われているという点です。
例えば生理学では、名称の暗記だけでなく、生体の調節機構やフィードバック機構を理解していなければ解けない問題が見られました。生化学においても、代謝経路の名称を覚えるだけではなく、代謝の流れを理解していることが重要です。
また、基礎医学の横断的理解が求められる問題も見られるため、分野ごとに断片的に覚えるのではなく、全体として整理して理解しておくことが重要だと感じました。
さらに、問題自体は一見シンプルに見えるものでも、正確に解答するためには基礎的な知識を確実に定着させておく必要があります。表面的な理解では対応が難しく、基本事項をどれだけ深く理解しているかが問われていると感じました。
加えて、各科目の設問数は限られているものの、その一問一問の重みが大きく、少数の設問で理解度を的確に測る構成になっていると感じました。そのため、曖昧な知識のままでは得点につながりにくく、基礎を確実に固めたうえで応用できる力が求められていると実感しました。
使用した教材
一部試験対策の一環として、各出版社が出している科目別の書籍をメインのテキストとしつつ、医師国家試験予備校各社が提供する基礎医学講座を併用しました。あくまで私が使用した補助教材の一例として捉えていただければと思います。
これらは日本の医学生向けに作られた国家試験対策講座であり、基礎医学の重要ポイントが体系的に整理されています。海外医学部で学んでいる場合、日本の医学教育で重視される内容が分かりにくいことがありますが、こうした講座を利用することで効率的に把握することができました。
また、日本語で医学内容を整理し直すという点でも、講義形式の教材は有用でした。英語で理解している内容を日本語に置き換える過程で、日本語の医学表現に慣れることができたのは大きな利点でした。
もちろん、最適な教材は個人によって異なりますが、日本の国家試験対策教材を取り入れることは有効な選択肢の一つだと感じました。
試験を受けて感じたこと
今回の一部試験を通して強く感じたのは、基礎医学をしっかり理解しておくことの重要性です。範囲が広いためすべてを完璧に覚えることは困難ですが、基本的な概念を理解していれば対応できる問題も多いと感じました。
また、日本語で医学の問題文を読むことや、日本の試験形式に慣れることも重要です。海外医学部で学んでいる場合、この点は大きなハードルになりますが、日本の医学生同様にCBTも含む日本の医師国家試験対策教材を用いた問題演習を通じて、徐々に適応していくことが可能です。
試験対策として重要なのは、自分の弱点を把握し、計画的に学習を進めることです。基礎医学の知識は一度身につければ長く役立つため、時間をかけて土台を固めることが結果的に有効な対策になると感じました。
FAQ
次回は、一部試験合格までに実践した勉強方法について、使用した教材や学習スケジュール、復習の工夫などを具体的に紹介します。
CES医師国試予備校 講師【K先生】
フィリピンの医学部を卒業後、日本での医師資格取得を目指して医師国家試験予備試験を受験。海外医学部出身者の立場から、試験制度や勉強方法、進路選択に関する情報を発信しています。

