【医師国家試験予備試験】第5回 これから医師国家試験予備試験を目指す方へ

これまでの記事では、医師国家試験予備試験の制度の概要、海外医学部卒業生が直面しやすい課題、実際の一部試験の印象、そして私自身が実践していた勉強方法について紹介してきました。本記事では連載のまとめとして、これから医師国家試験予備試験を目指す方に向けて、受験前に整理しておくべきことや、この試験に挑戦する価値があるケースについてお伝えします。

海外医学部から日本で医師として働く道は、決して一般的なルートではありません。しかし、制度として存在している以上、適切な準備を行えば到達可能な道でもあります。その一方で、事前に理解しておくべき現実もあります。本記事では、これから受験を考えている方にとって参考になるポイントを整理していきます。

まず制度を正確に理解する

医師国家試験予備試験を目指すうえで、まず最も重要なのは制度を正確に理解することです。

海外医学部卒業者が日本で医師国家試験を受験するためには、いくつかの段階を経る必要があります。一般的には、まず厚生労働省による受験資格認定を受け、その結果に応じて医師国家試験予備試験を受験することになります。そして予備試験に合格した後、医師国家試験を受験するという流れになります。

この制度は、日本の医学部を卒業した場合とは大きく異なるため、最初は分かりにくい部分もあるかもしれません。また、海外医学部の教育内容やカリキュラムによって、必要な手続きが異なる場合もあります。そのため、まずは制度の全体像を理解し、自分がどのルートに該当する可能性があるのかを把握することが重要です。

制度の概要については厚生労働省の資料にも整理されています。最新の情報については、公式資料を確認することをおすすめします。

参考:
厚生労働省「海外医学部卒業者等の医師国家試験受験資格認定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51057.html

長期的な準備が必要になる

医師国家試験予備試験を目指す場合、長期的な準備が必要になることも理解しておく必要があります

一部試験では基礎医学の広い範囲が出題されます。解剖学、生理学、生化学など、日本の医学教育で学ぶ基礎科目を体系的に理解していることが前提となります。海外医学部で英語を中心に医学を学んできた場合、日本語で医学を整理し直す必要があることも多いでしょう。

また、予備試験は日本の医師国家試験と比べて受験者数が多くないため、対策情報が限られているという特徴があります。過去問の数も多くはなく、出題傾向を把握すること自体にも時間がかかる場合があります。

さらに、予備試験に合格した後には1年以上の実地修練が控えています。そのため、予備試験だけを目標にするのではなく、実地修練ひいては医師国家試験本試験までを見据えて、長期的な視点で学習計画を立てることが重要です。

このように、日本で医師免許を取得するまでには一定の時間と努力が必要になることを、あらかじめ理解しておくことが大切だと思います。

独学の難しさ

海外医学部生の場合、日本の医師国家試験を目指す環境が周囲にないことも多く、独学で勉強を進めるケースが多いと思います。

私自身も基本的には独学で勉強を進めていました。しかし独学にはメリットもある一方で、いくつかの難しさもあります。

まず、どの教材を使えばよいのか、どの順番で勉強すればよいのかといった情報が限られていることです。また、自分の学習方法が適切かどうかを客観的に判断するのも簡単ではありません。

さらに、長期間の勉強になるため、モチベーションの維持も重要になります。周囲に同じ目標を持つ仲間がいない場合、孤独を感じることもあります。

そのため、必要に応じてオンライン講座や情報交換の機会を活用することも一つの方法です。自分に合った方法を見つけながら、継続して勉強を進めていくことが大切です。

挑戦する価値がある人

医師国家試験予備試験は決して簡単な試験ではありません。そのため、すべての海外医学部卒業生にとって最適な進路とは限らないと思います。

一方で、次のような方にとっては挑戦する価値がある試験だと感じています。

まず、日本で医師として働きたいという明確な目標を持っている方です。日本の医療制度の中で臨床に携わりたいと考えている場合、この試験は重要な選択肢になります。

また、長期間の勉強に取り組む覚悟がある方も向いていると思います。基礎医学を整理し直し、日本語で医学を学び直すには一定の時間が必要です。

さらに、自分で学習計画を立てて勉強を進めることができる方も、この試験に向いていると思います。海外医学部生の場合、自ら道を切り開いていく姿勢が求められる場面が多くなります。

受験前に考えておくべきこと

予備試験に挑戦する前に、いくつか整理しておくとよいポイントがあります。

一つ目は、進路の選択肢を比較することです。海外医学部を卒業した場合、その国で医師として働く道や、別の国で資格を取得する道など、さまざまな進路があります。日本で医師を目指す場合のメリット・デメリットを含めて、自分にとって最適な進路を考えることが大切です。

二つ目は、勉強に必要な期間を現実的に見積もることです。短期間で結果を出すのは難しい場合が多く、ある程度の時間を確保する必要があります。

三つ目は、情報収集を継続的に行うことです。制度は変更される可能性もあるため、最新の情報を確認することが重要です。

最後に

海外医学部から日本で医師になる道は、決して簡単ではありません。情報も多くはなく、勉強環境も日本の医学生とは異なる場合が多いと思います。しかし、その一方で、この道を実際に歩んできた人がいることも事実です。制度を理解し、必要な準備を行い、長期的な視点で学習を続けることで、目標に近づくことは可能だと思います。

これから医師国家試験予備試験を目指す方にとって、本連載が少しでも参考になれば幸いです。

FAQ

Q1:海外医学部から日本で医師になることは可能ですか?
制度上は可能です。受験資格認定や医師国家試験予備試験などの手続きを経て、医師国家試験を受験することになります。
Q2:どのくらいの勉強期間が必要ですか?
個人差はありますが、一部試験だけでも1年前後の準備期間を想定する方が多いと思います。
Q3:独学でも合格できますか?
独学で合格している方もいます。ただし、学習計画をしっかり立てることが重要になります。
Q4:海外医学部生にとって一番大きな課題は何ですか?
情報の少なさや、日本語で医学を学び直す必要がある点が課題になることがあります。
Q5:この試験に挑戦する価値はありますか?
日本で医師として働きたいという明確な目標がある方にとっては、重要な選択肢の一つになると思います。

著者プロフィール

CES医師国試予備校 講師【K先生】

フィリピンの医学部を卒業後、日本での医師資格取得を目指して医師国家試験予備試験を受験。海外医学部出身者の立場から、試験制度や勉強方法、進路選択に関する情報を発信しています。

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