医学部5年生の臨床実習・進級対策|医学部の勉強法と留年予防

医学部5年生の臨床実習・進級対策|実習の学びを臨床推論と国家試験の得点につなげる方法

この記事の結論
  • 5年生の中心は診療参加型臨床実習。共用試験に合格した医学生は、指導医の下で医業を行うことが法的に認められています。
  • 実習の経験を得点に変えるコツは、主訴から鑑別診断を組み立てる練習と、当日中の短い復習です。
  • 6年生の卒業試験・国家試験に向けて、回っている診療科の過去問から並行して始めると負担が分散します。

結論|5年生で大切なこと

5年生になると、講義中心の学習から、病棟で患者さんを担当しながら学ぶ臨床実習へ大きく切り替わります。知識を「覚えているか」ではなく、目の前の患者さんの情報から「何を考え、何を確かめるか」が問われるようになります。

一方で、実習は診療科ごとに数週間単位で移り変わるため、学んだことを整理しないまま次の科へ進むと、6年生で全範囲を一から復習することになります。実習で出会った症例を起点に、その日のうちに病態・検査・治療を確認する習慣が、5年生の学習の軸です。

図1 医学部6年間の一般的な流れ(5年生の位置)
1年
教養・基礎科学
早期体験実習

→

2年
解剖・生理・
生化学

→

3年
病理・薬理・
微生物・社会医学

→

4年
臨床医学講義
共用試験CBT・OSCE

→

5年
診療参加型
臨床実習

→

6年
臨床実習・
卒業試験・国試

※臨床実習の開始時期(4年次後半〜5年次)や期間は大学により異なります。

5年生で学ぶこと(臨床実習の位置づけ)

2021年の医師法改正により、共用試験は公的な試験として位置づけられました。共用試験に合格した医学生は、臨床実習において指導医の指導・監督の下で医業を行うことができます(2023年4月施行)。さらに、2025年4月1日以降に卒業する人は、共用試験の合格が医師国家試験の受験資格の要件になっています。

図2 共用試験から医師国家試験までの流れ
共用試験
CBT(知識)
OSCE(技能・態度)

→

臨床実習
合格者は指導医の下で
医業を行える

→

臨床実習後OSCE
実習後の
臨床能力を評価

→

卒業試験
大学ごとに実施
(形式は大学による)

→

医師国家試験
受験資格に
共用試験合格が必要

出典:厚生労働省「共用試験(医学)」ページ、第121回医師国家試験の施行公告。臨床実習後OSCE・卒業試験の時期や扱いは大学により異なります。

つまずきやすい理由

つまずき 背景 対策
実習で手一杯になる 朝が早く、カルテ記載・レポート・発表準備が重なる 復習を「当日30分」など小さく固定する
知識が症例とつながらない 講義の知識が疾患別に整理されたまま 主訴から鑑別を挙げる練習で知識を引き出す
プレゼンで詰まる 情報の並べ方の型が身についていない SOAPと症例提示の順序を型として覚える
国試対策が後回し 「6年生から」と考えて先送りする 回っている診療科の過去問を並行して解く

臨床推論の組み立て方

臨床実習でも国家試験でも、問われているのは「患者さんの情報から診断と方針を組み立てる力」です。図3の流れを、担当症例ごとに繰り返し当てはめてください。

図3 臨床推論の基本フロー
主訴
何に困って
受診したか

→

病歴・身体所見
OPQRSTなどで
情報を集める

→

鑑別診断
緊急度の高い疾患を
まず除外

→

検査
鑑別を絞るために
選ぶ

→

診断・方針
SOAPで記載し
指導医に提示

※「致死的な疾患から除外する」考え方は国家試験の必修問題でも頻出です。

実習期間の学習サイクル

図4 臨床実習中の1日の学習サイクル(例)

実習中
担当患者の主訴・所見・検査値をメモし、分からなかった点に印を付ける

当日夜(30分目安)
印を付けた点を教科書で確認し、鑑別診断を3つ以上書き出す

週末
その週の症例に関係する国家試験の過去問を解き、誤答の理由を記録する

診療科の終わり
その科の頻出疾患を一覧にし、病態・検査・治療を1枚にまとめる

※説明用の例です。実習の拘束時間や課題量に合わせて調整してください。

5年生から6年生へのスケジュール

5年生の後半からは、6年生の卒業試験と国家試験を見据えた準備が始まります。直近の第121回医師国家試験の日程は次のとおりです。5年生のうちにこの流れを把握しておくと、6年生で慌てずに済みます。

時期 主な出来事 5年生のうちにしておくこと
5年次 診療科ローテーション(臨床実習) 回った科の過去問を並行して解く
6年次前半 臨床実習の継続、臨床実習後OSCE(大学による) 苦手分野のリストを作り、優先順位を決める
6年次秋 卒業試験(時期・形式は大学による) 卒業試験と国家試験の共通範囲を意識して学ぶ
11月 国家試験の出願(第121回は2026年11月2日〜30日) 必要書類と大学の取りまとめ時期を確認
2月 医師国家試験(第121回は2027年2月6日・7日) —

出典:厚生労働省「医師国家試験の施行について(第121回)」。卒業試験・臨床実習後OSCEの時期は大学によって異なります。

CES医科のマンツーマン指導

CES医科では、講師1人・生徒1人のマンツーマン指導で、医学部の進級・CBT・OSCE・卒業試験・医師国家試験まで、学習段階に応じた個別指導を行っています。5年生では、実習で担当した症例を教材に臨床推論を一緒に組み立て、回っている診療科に合わせて国家試験の過去問演習を進めます。

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よくある質問

Q. 医学部5年生の臨床実習では、学生も医療行為を行えますか?

A. 共用試験(CBT・OSCE)に合格した医学生は、医師法の改正により、指導医の指導・監督の下で臨床実習において医業を行うことが法的に認められています(2023年4月施行)。実際に行える範囲は大学・診療科の方針に従います。

Q. 臨床実習中はどのように勉強すればよいですか?

A. 担当症例を起点に、当日中に短時間の復習を行うのが基本です。主訴から鑑別診断を挙げ、病態・検査・治療を教科書と国家試験の過去問で確認すると、実習の経験が試験の得点につながります。

Q. 5年生のうちに国家試験対策を始めるべきですか?

A. 実習と並行して始めるのがおすすめです。回っている診療科の過去問を解く形で進めると、6年生で全範囲を一から始める負担が減ります。

Q. 臨床実習後OSCE(Post-CC OSCE)とは何ですか?

A. 臨床実習を終えた段階の臨床能力を評価する客観的臨床能力試験で、2020年度から正式に実施されています。実施時期や合否の扱いは大学により異なるため、所属大学の案内を確認してください。

Q. 5年生で進級できないことはありますか?

A. あります。実習の評価、レポート、出席、学内試験などの要件を満たさない場合は進級できないことがあります。基準は大学ごとに異なるため、学生便覧で確認してください。

確認テスト(10問・解説付き)

臨床実習の制度と、実習・国家試験で共通して問われる臨床推論の基本を確認する問題です。

Q1. 共用試験に合格した医学生が、臨床実習で医業を行えることを定めた医師法の規定が施行されたのはいつか。

解答:2023年(令和5年)4月

解説:共用試験の公的化とあわせて、いわゆるStudent Doctorが法的に位置づけられました。

Q2. 令和7年4月1日以降に卒業する人が医師国家試験を受験するために、新たに必要になった要件は?

解答:共用試験の合格

解説:第121回医師国家試験の施行公告でも、大学卒業者は共用試験に合格した者に限ると明記されています。

Q3. カルテ記載のSOAPで「A」は何を表すか。

解答:Assessment(評価・アセスメント)

解説:S:主観的情報、O:客観的情報、A:評価、P:計画。症例発表やカルテ記載の基本形です。

Q4. 急性の胸痛でまず除外すべき致死的な疾患を4つ挙げよ。

解答:急性冠症候群、急性大動脈解離、肺塞栓症、緊張性気胸

解説:頻度より緊急度を優先して鑑別する考え方は、国家試験の必修問題でも繰り返し問われます。

Q5. ショックの4分類は?

解答:循環血液量減少性・心原性・血液分布異常性・閉塞性

解説:分類ごとに初期対応が異なるため、病態と結び付けて覚えます。

Q6. グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)の合計点の範囲は?

解答:3〜15点

解説:開眼(E)1〜4、最良言語反応(V)1〜5、最良運動反応(M)1〜6の合計です。

Q7. qSOFAの3項目は?

解答:呼吸数22回/分以上、意識の変容、収縮期血圧100mmHg以下

解説:敗血症を疑う患者のスクリーニングに用いられる簡易指標です。

Q8. 陽性尤度比を感度と特異度で表すと?

解答:感度 ÷(1 − 特異度)

解説:検査結果が陽性だったとき、疾患の確率がどれだけ上がるかを示します。臨床推論で検査を選ぶ根拠になります。

Q9. 症例プレゼンテーションで、主訴の次に述べるのが一般的な項目は?

解答:現病歴

解説:主訴→現病歴→既往歴・内服・アレルギー・生活歴・家族歴→身体所見→検査→アセスメントとプラン、の順が基本です。

Q10. 臨床実習後OSCE(Post-CC OSCE)が正式実施されたのはいつからか。

解答:2020年度

解説:臨床実習の成果を評価する試験です。実施時期や合否の扱いは大学により異なります。

参考情報

※本記事は一般的な学習情報です。科目配当・試験時期・進級基準は大学ごとに異なるため、所属大学のシラバス・学生便覧・試験要項を優先してください。試験制度の数値は記事末尾の公式情報で最新版をご確認ください。

執筆・編集:CES医科 講師チーム

監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)。医学部・医療系国家試験の指導に30年以上携わる。

最終更新日:2026年10月30日