【医学部5・6年生】マッチング対策ガイド|いつから準備?国試前のスケジュール管理術

研修医マッチング対策

医師国家試験は医学部6年生の2月に実施されますが、その前に重要なステップがあります。それが「マッチング」です。医師国家試験に合格しても、初期研修先が決まっていなければ医師としてのキャリアはスタートできません。

本記事では、医学部5・6年生が「いつ」「何を」準備すべきか、マッチング対策の全体像とスケジュールを徹底解説します。国試受験資格を得る6年生になる前、つまり5年生からの準備が合否を分けるポイントです。

マッチングとは何か

マッチングは、全国の臨床研修病院と医学生が希望順位を提出し、最終的に研修先が決まる制度です。医師としての第一歩を踏み出す重要な過程であり、今後2年間の臨床経験・人間関係・専門志向の方向性を大きく左右します。毎年、人気病院の倍率は高く、上位校の学生であっても「準備不足」によって第一希望病院に落ちるケースは少なくありません。更に、近年は首都圏をはじめ都市部の病院の倍率が高くなる傾向が強まってきています。

したがって、「早期の情報収集」「自己分析」「面接・筆記対策」を行うことは、自身が希望する病院にマッチするためにはもはや必須事項となっています。

まず何から始めるべきか:自己分析と病院リストの作成

マッチング対策の第一歩は、「自分が初期研修の2年間で何を求めているのか」を明確にすることです。大学病院志向か、市中病院志向か、救急・内科・外科・総合診療など興味分野を整理します。大まかな傾向としては下記の表のように整理できます。ただし、市中病院にも大学病院のように活発に研究を行う病院も存在することには注意が必要です。

志向 メリット 注意点
大学病院
  • 専門志向・研究環境が整い、高度治療が必要な症例が揃いやすい。
  • 指導体制が確立されている病院が多い。
  • 基本的にほぼすべての診療科が存在。
  • 症例数・手技機会が限られる。Common diseaseを見る機会に制限も。
  • 裁量は市中病院と比べ少ない。雑務が多い点も大学病院の特徴。
市中病院
  • 幅広い症例・手技が豊富。
  • 研修医の裁量が大きい病院が多い。
  • 受け持ち患者数も多い傾向にある。
  • 研究・学術活動の機会が少ない場合がある。
  • 即戦力として扱われる可能性も高く、精神的負荷が高い可能性もある。
  • 指導機会が少ない病院も存在し、手技や治療が我流になってしまうことも。
  • マイナー診療科が存在しない場合が多い。

この段階で、「どんな環境で学びたいか」、「将来どの診療科を目指すか」を言語化しておくと、見学先や面接時の発言に一貫性が生まれます。

病院見学のポイントとスケジュール管理

見学は、3月〜7月が本番期です。春休みやGWを活用して複数の病院を回ることが推奨されます。1施設につき1〜2日が目安で、人気病院では見学予約が早期に埋まるため、メールでの連絡は1か月以上前に行いましょう。特に、人気の病院は1回のみではなく、2回ほど病院見学に行くことも多いため、自身が興味のある人気病院は5年生のうちに1度見学に行ってみましょう。

見学時に確認すべきポイント

見学時に確認すべきポイントは大きく分類して以下の6つです。

  • 指導医の雰囲気と教育体制
  • 当直・救急体制
  • 研修医の雰囲気、及び生活リズム(寮の有無や土日の出勤など)
  • ローテーション診療科の種類や選択期間、ローテーション変更の柔軟性
  • 研修医の先生方の3年目以降の進路について、どの専門医プログラムに入るか
  • 研修医の出身大学の傾向

「公式パンフレットには書かれていないリアルな情報」を得るために、研修医との非公式な雑談の時間を活かすことが重要です。ただし病院によっては研修医の評価もマッチング時の評価に組み込んでいる可能性もあり、あまりに礼を欠いた質問や態度は取らないようにしましょう。マッチングの病院見学も「就活」の一環です。

面接対策:印象と内容の両輪

マッチング面接では「人柄・熱意・協調性」を中心に評価されます。特別な話術は不要ですが、「なぜこの病院を選んだか」「どんな研修医になりたいか」は明確に答えられるように準備しておきましょう。また、履歴書に欠いた内容から質問されることも非常に多いため、履歴書は写真を撮ってから提出し、内容確認、想定質問等も事前にねっておきましょう。

代表的な質問例

  • なぜこの病院を志望しましたか?
  • 将来どの診療科に進みたいですか?
  • どのような研修医になりたいですか?
  • 医学生生活で印象に残った出来事は?
  • チーム医療で意識していることは?
  • 初期研修後の進路はどうしますか?
  • 専攻医プログラムは時代学に戻りますか?

また、面接官は受け答えの内容以上に、態度や礼儀を重視します。模擬面接を友人や指導医と繰り返すことで自身の志望動機や進路、希望を明確化させることが対策に効果的です。

筆記試験と小論文対策

筆記試験は国試レベルの臨床問題+一般常識が中心ですが、病院によっては国試のレベルを超えた出題や、専門医試験レベルの出題をする病院もあります。過去問の公開がない病院も多いですが、出題傾向は大きく以下の3パターンに分かれます。いずれにしろ過去問の入手や筆記試験のボーダーを知ることがマッチングの対策では重要です。

出題パターン

  1. 国試型:QBレベルから専門医試験レベルまで様々な難易度の5択問題
  2. 記述型:総合問題や記述式の問題
  3. 適性検査型:一般常識・心理テストの出題

また、小論文では「理想の医師像」「チーム医療」「地域医療」「医療安全」などが頻出です。字数制限(400〜800字)を意識し、結論→理由→具体例→まとめの型で書けるようにしておきましょう。

志望順位の戦略とマッチング登録

マッチングシステムでは、「病院の順位」と「学生の順位」がアルゴリズムによってマッチします。

したがって、「仮に高倍率病院に落ちたとしても、高倍率の病院を上位志望に書いたことで低倍率病院の定員が先に充足してしまい低倍率病院までも落ちてしまうことはない」という点を理解しておくことが大切です。そのため、戦略等はあまり考えずあくまで自分が行きたい病院順に登録を行いましょう。

また、マッチング試験が早くとも7月末から開始することから、6月末〜7月上旬の段階で受験する病院や志望順位をほぼ確定しておくと安心です。

合否後の流れと”もしダメだった場合”

マッチング不成立(いわゆる”アンマッチ”)は例年約10%程度です。不成立となった場合も、二次募集(10月下旬〜11月)で多くの病院が追加募集を出します。こちらは先着順で病院が埋まっていきます。なるべく早めに動いて初期研修先を確保してしまいましょう。平均して1〜2週間ほど2次募集の面接や内定に時間が取られます。

また、マッチングの成否にかかわらず、最終的には医師国家試験がゴールではなくスタートであることを忘れてはいけません。医師国家試験の合格発表後に国試不合格者の充足として三次募集も行われます。仮にアンマッチでもあえて国家試験対策に集中してしまい三次募集を狙うのも一つの戦略となります。自身の性格や成績に合った方を選択しましょう。

まとめ:早めの準備が「安心感」につながる

マッチング対策はこれまで述べたように近年特に着実な対策が求められるものとなっています。最も大切なのは、「自分が納得できる研修を選ぶこと」です。

見学や面接の過程そのものが、自分の将来像を見つめ直す貴重な機会となります。医師としての最初の一歩を自分らしく踏み出すために、早い段階から準備を始めましょう。

そして何より、マッチング対策と並行して医師国家試験合格という大前提を確実にするための学習計画も重要です。計画的な準備で、理想の研修先と国試合格の両方を手にしてください。