【医師国家試験対策】直前2ヶ月前に”やってはいけない”勉強法5選

医師国家試験直前にやっていはいけない勉強法のイメージ

――やるべきことを絞ることが合格への最短ルート

医師国家試験の直前2ヶ月は、知識の総仕上げと安定化を図る極めて重要な期間です。しかし、多くの受験生がここで勉強の方向性を誤ってしまい、得点の伸び悩みが生じます。「直前期だからもっと演習しなければ」という焦りが、むしろ学習効率を落とす原因になってしまうのです。

この記事では、「医師国家試験の直前2ヶ月前にやってはいけない勉強法」を5つにまとめ、それぞれに対する具体的な代替案を提示します。国試の直前期は、闇雲に新しいものに手を出し、勉強量を増やす時期ではありません。国試2か月前は必要なことだけに集中し、やらないことを決める時期となります。

1新しい参考書に手を出す

直前になって不安が強くなると、「もっと良い国試対策教材があるのではないか」と思い、新しい参考書や教材に手を伸ばす受験生が多く見られます。しかし、これは直前期における最大の失敗行動のひとつです。

なぜやってはいけないのか

  • 情報量が一気に増え、知識が混乱する。
  • 新規教材を読むことに時間を取られ、本来直前期にすべき復習に時間が割けない。
  • 新規教材の量が測り切れず、仮に途中までしか終えられない場合、「やり切れなかった感」が増して焦りが悪化する。

特に直前2ヶ月で新規教材に手を出すことは、「新しい参考書を読むこと」に時間を取られてしまい、アウトプットの機会が減るのが危険です。

すべきこと
  • これまで使ってきた教材を最後まで信じる。
  • 国家試験の過去問や使用教材の「未回収問題」を優先的に潰す。
  • ノートやメモは増やさず、むしろ要点を絞って整理する。

新しい教材よりも、「今までの教材を深める」方が合格率は確実に高まります。

2睡眠時間を削る

直前期になると、勉強時間を確保するために睡眠を削る受験生が増えます。しかし、医師国家試験の勉強では睡眠不足が最も危険です。特に必修問題や計算問題は睡眠不足の影響が直撃します。医師国家試験は暗記の側面もありますが、推論や計算、鑑別の判断など思考力を要するものが多いため、睡眠不足ではこれらの問題の演習の質が低下しがちとなり、結果として効率が低下します。

なぜやってはいけないのか

  • 記憶の固定が行われず暗記効率が急低下する。
  • 判断力が鈍り、いつもしないようなミスをする確率が高まる。
  • 集中力が低下し、結果として演習効率の低下につながる。

直前期こそ睡眠時間を確保し、演習の質を担保すべきです。

代替案
  • 毎日6〜7時間の睡眠を確保する。
  • 眠くなった場合、昼に20分以内の仮眠を取るに留める。
  • 夜に詰め込むより、午前の学習効率を最大化する。

3不得意科目だけに偏る

直前期に苦手科目が気になってしまい、そこばかり勉強してしまう受験生がいます。しかし、まんべんなく対策することが求められる医師国家試験では、苦手科目のみならず得意科目も定期的なフォローが必要となります。実際に長期間触れていないと、得意科目とは言えども細かい知識が抜けてしまいます。

なぜやってはいけないのか

  • 確実な得点源である得意科目の暗記事項が抜け始める。
  • 結果として総合点としての安定感が損なわれる。

医師国家試験では、広く浅く確実に取り切る力が最重要です。

代替案
  • 全科目に週1回は触れる「科目シャッフル学習」を行う。
  • 得意:苦手の学習配分を4:6程度に抑える。
  • 苦手分野に関して、まずは「典型問題だけ」を確実に取れる状態にする。

4過去問に深入りし始める

直前で焦り、解いたことのある過去問以上に過去問を遡り始めるのは非効率となります。過去問はあくまでも過去問であり、現在の国試の傾向や治療方針などと異なる可能性が高いからです。

なぜやってはいけないのか

  • 初見の問題演習は時間がかかりすぎる。
  • 正解できなかった場合に不安が増し、精神的に追い込まれます。
  • 現在の治療方針や統計指標が異なる場合が多々ある。
代替案
  • 直前期は「2周目以降」の過去問復習に徹する。
  • 既習の教材を用いて苦手分野などをテーマ別に深掘りする。
  • 「典型問題を確実に取る」ことに100%集中する。

5情報を増やしすぎる(SNS・友人比較・模試結果)

直前期で一番崩れやすいのがメンタルです。特にSNSなどで周囲の成績が見えると、焦りや不安で勉強効率が大きく下がることがあります。あくまでも目標は「国試で良い点数を取る」ことではなく「国試に合格する」ことであるのを意識することが重要です。

なぜやってはいけないのか

  • 「他人の勉強が自分より進んでいる」ことに動揺しうる。
  • 模試の判定や友人の成績に影響されやすくなり、自分の勉強計画が崩れる。
  • SNSなどを見る時間が増え、勉強ペースが乱れる。
代替案
  • 情報源は「過去問+1つの教材」をメインとし、SNSの情報はあくまでもサブに留める。
  • SNSは見すぎないようにし、自身の勉強ペースが崩れないようにする。

まとめ:直前期は”何をやらないか”を決めることで合格が近づきます

医師国家試験の直前2ヶ月は、勉強量を増やすよりも、やるべきことを絞り、やらなくてよいことを排除することで、メンタルが安定します。その結果、点数も安定化させることが出来ます。

【直前期にやってはいけない5つ】

  1. 新しい参考書を始める
  2. 睡眠時間を削る
  3. 不得意科目だけに偏る
  4. 更に昔の過去問を初めて回し始める
  5. 情報を増やしすぎてメンタルを乱す
直前期の原則はただ一つ、「新しいことを減らし、既存の知識を確実に点に変える」ことです。これを徹底するだけで、国試本番の得点は大きく伸びます。


著者プロフィール

東大医学部卒講師(現役医師)

略歴:

PMD医学部専門予備校およびCES医師国家試験予備校で講師として指導中。
医学教育・国試対策に関する豊富な実務経験をもとに監修・執筆を担当。