【令和7年度最新分析】医師マッチング結果から見る研修医マッチング戦略と倍率・仕組み完全ガイド
次年度に向けた戦略と対策
ーーデータが示す「勝ち筋」と「落とし穴」ーー
医師マッチングは、医学生にとって医師人生の第一歩となる重要な選択です。研修医マッチングの結果は、初期研修だけでなく、その後の専門医取得やキャリア形成にも大きく影響します。
2025年10月に発表された令和7年度のマッチング結果からは、人気病院への競争激化、第一希望マッチ率の減少、そして戦略的な病院選びの重要性が浮き彫りになりました。
本記事では、最新データに基づいたマッチング戦略と、次年度に向けた対策を詳しく解説します。マッチング倍率が高まる中、確実にマッチングを成功させるためのポイントを押さえましょう。
医師マッチングとは?令和7年度の最新動向
はじめに
2025年10月に発表された「令和7年度(2025年度)医師臨床研修マッチング結果」では、例年通り全国で約1万人の医学生がマッチングに参加しました。
その制度の性質上、マッチングは単なる”配属決定”ではなく、医師としての最初のキャリア選択そのものになっています。
これからマッチングを迎える5・6年生の皆さんに向けて、本記事では最新データをもとに現状の傾向と次年度に向けた戦略を整理していきます。
研修医マッチング率92.3%の実態と競争激化
全体のマッチ率は過去最高に
令和7年度のマッチ率は92.3%(前年91.8%)と概ね例年通りの水準となりました。
希望順位表を登録した9,651名のうち、8,910名がマッチに成功しています。
後述しますがマッチ率は例年通りでも第一希望マッチ者数、マッチ率は微減しています。マッチングの仕組みとして「ほとんどの学生がどこかには決まる」ものですが、第一希望病院にマッチングする方は減少しており、これは「人気病院の競争はより激化している」ことを意味します。
人気病院は例年、定員の数倍〜十倍ほどの応募があります。
つまり、「マッチングできるかどうか」よりも、「どこにマッチするか」を重視する傾向がより強まっている時代になったといえます。
医師マッチングの第一希望成功率と志望順位の戦略
第1希望マッチは約6割、上位希望で決まる学生が大多数ではあるものの、近年減少傾向となっている。
今年度のデータでは、
- 第1希望でマッチ:60.6%
- 第2希望:17.3%
- 第3希望:9.8%
- 第4希望以下:12.3%
という結果でした。
第3希望までで全体の約9割(87.7%)がマッチしていますが、この数値も昨年の数値(88.7%)と比較して微減しています。すなわち、第一志望のみではなく、第三志望までの病院ですら競争が激化していると考えられます。
つまり、「上位3つの志望先をどれだけ戦略的に選べるか」が成功の鍵とも言えます。
「とりあえず有名病院を並べる」「母校だから安心」といった選び方では、満足度の高いマッチングにはつながりません。
市中病院と大学病院のマッチング倍率比較
市中志向が圧倒的多数、大学病院は空席が目立つ
市中病院、大学病院別のマッチ充足率で見ると
- 市中病院(臨床研修病院):88.7%
- 大学病院:78.0%
となっており、例年通り市中志向が多数派であり、充足率も市中病院が高値となっています。
給与・労働環境・研修の自由度などが市中病院で優れていることが多く、初期研修で一定以上の臨床経験を積みたい学生に選ばれやすい傾向があります。
一方、大学病院は22.0%もの空席率を出しており、特に一部地域の大学病院では充足率が半分を切るなど、大学病院間の格差も深刻化しています。
一方で大学病院も、「大学のネットワークを活用した専門医取得」「早期の研究参加」「大学院進学ルートの確保」など、その後のキャリア選択においてメリットとなる点も数多く存在するため、自身が初期研修において何を目的をするか考えることが重要になります。
人気病院ランキングと地域別マッチング倍率
人気病院への集中と地域格差
今年も東京・神奈川・大阪・名古屋・京都といった都市部に志望が集中しました。
特に関東圏の有名病院である虎の門病院、武蔵野赤十字病院、川崎市立川崎病院などは、例年通り高倍率です。
一方で、地方の中核病院や自治体病院では空席が続く病院も存在します。
奨学金制度や地域枠で一定の補填はありますが、根本的な人材流出は止まっていません。
これからマッチングに臨む学生にとっては、あえて倍率の低い病院を志望順位に組み込む戦略も有効です。教育熱心で手技機会が豊富な病院も多く、臨床力を重視する人にはむしろ適している場合もあります。
2次、3次マッチングでは時間的制約やプレッシャーが強まるため、何としても1次マッチングで研修病院を決定したい方は、マッチする可能性が高い病院を組み込むことが近年のマッチングにおいては大切な要素となります。
大学病院マッチングの仕組みと自大学出身者比率
自大学出身者の比率にも注目を
大学病院のデータでは、自大学出身者が50〜70%を占める施設が多い一方で、一部の大学では自大学出身率が低い大学病院も存在します。
自大学以外の大学病院を狙う場合は、見学やOB訪問などで早期に関係構築を図ることが大切です。
特に、「なぜあえて自大学ではなく、他大学の大学病院を受験したのか」を志望動機書や面接でしっかり伝えることが大切です。
マッチング面接対策と合格するための3つの戦略
マッチングに向けた3つの戦略ポイント
① 「実際の病院の雰囲気」を重視する
マッチングの際の見学は単に病院を回るだけでなく、「その病院の働く雰囲気を感じ取る」ことが重要です。
研修医や指導医の姿勢、カンファレンスの雰囲気、他職種との関係性などを観察し、自分が納得できる環境かを見極めましょう。
② 情報を「信頼できる場所」から集める
マッチングの情報は数年程度でも古い情報となってしまっていることが多く、特に有名病院では筆記試験などの形式が変更となっている場合もあります。説明会・OB訪問・現役研修医との面談などで最新の情報を入手するようにしましょう。
③ マッチング面接は「志望動機の一貫性」が鍵
人気病院では、「知識」はもちろんのこと、更に「熱意」「人柄」「ロジック」が問われます。
志望動機が「施設の特徴」ときちんとリンクしているかどうかを、事前に言語化しておきましょう。面接試験でも志望動機などは特に狙われる事項です。
医師マッチング成功のためのキャリア戦略まとめ
まとめ:マッチングは「最初のキャリア戦略」
令和7年度のマッチング結果から見えてくるのは、次の3つのキーワードです。
- 地域ごとのマッチ率の格差=大都市圏への人気集中の顕在化
- 市中志向の固定化=待遇・環境の重視
- 志望順位の戦略化=情報戦の時代
マッチングは本来「どこに入れるか」ではなく、「どこで初期研修を行い、自分の能力を伸ばすか」を考える場です。
早めの情報収集と現場で働く人との対話が、納得のいく選択につながります。特に「人気だから」といった安易な理由で大都市部の病院ばかりを選ぶと現在の傾向として最悪の場合アンマッチにつながりうるため、志望病院選びには注意が必要です。
今後マッチングに臨む皆さんは、今年のデータを踏まえて「自分に合った病院」を見極める力を磨いていきましょう。
マッチングはゴールではなく、医師としての第一歩を踏み出す場所です。焦らず、確実に、自分の軸をもって臨んでください。
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