医師国家試験 科目別対策|高得点が狙える出題頻度ランキング&盲点科目の勉強法
医師国家試験の科目別戦略とは
医師国家試験の出題傾向は年ごとに微妙に変化しますが、全体として「出題頻度が高い科目」と「得点効率の良い科目」は明確に分かれています。
本記事では、直近の国試データをもとに、①出題頻度が高く得点配分が重い科目と、②内容量の割に点が取りやすい「盲点科目」をそれぞれランキング形式で紹介します。
効率よく合格点を越えるには、「重い科目を確実に」「軽い科目で差をつける」。
この二軸の戦略を意識することが重要です。
出題頻度が高い”得点源科目”ランキング
出題頻度は「学習時の内容の重さ」とほぼ比例します。
国家試験の設計上、単元別にみると公衆衛生・消化器・循環器・神経・小児科の5領域で国試の問題のおよそ4割が構成されています。
この「重い科目」を外すと、どれだけ他を詰めても得点が安定しません。
第1位:公衆衛生 ― 国試で最も配点の高い”安定科目”
出題比率は例年15%前後であり、国試ではある程度の得点が見込める重要科目とされています。
特に医療制度・疫学統計・予防医学・母子保健などは毎年確実に出題されています。ただし、公衆衛生は範囲が広く、毎年数問はかなり細かい知識が要求される問題であることもあるため、試験直前の深入りは禁物である範囲でもあります。
対策のポイント
- 統計(感度・特異度・オッズ比など)は必ず式で理解
- 医師法・医療法などの制度問題は逐語暗記
- 定義や数値、健康日本21などの政府目標の更新(喫煙率、出生率など)も確認
- 直近の模試に出題されたものは他の受験生との差ができないように復習する
公衆衛生は対策に時間がかかりますが、一度6年生までに大筋を掴んでしまえば最終学年での点数維持が容易となる科目です。
第2位:循環器 ― 「生理・病態・治療」が一直線に問われる王道領域
心不全・不整脈・弁膜症・虚血性心疾患が中心に出題されます。
出題数が多いだけでなく、循環状態の評価などと関連して他科(消化器、腎臓、救急など)と横断的に問われやすい特徴があります。
対策のポイント
- 心電図の波形(洞不全、心ブロック、房室解離)について鑑別を意識して理解することを心がける(実際に本番では緊張も相まって困難であることのほうが多い)
- 心エコー・心カテ所見の読み方を身に着けておく。EFや逆流所見、肺動脈圧等は出題されやすい
- 薬理:β遮断薬、ACE阻害薬、抗不整脈薬の使い分けに付いて整理しておく。循環器は禁忌薬が多いため、確実に病態から理解するようにする。
循環器は先述の通り禁忌選択肢に引っかかりやすい科目の一つとなります。特に緑内障や喘息等の合併症濃霧に関しては最新の注意を払って問題を解くようにしましょう。
第3位:神経 ― 「病態理解+画像問題」で差がつく
神経範囲は徴候や画像(CT・MRI)、神経解剖を症候と結びつけて理解できているかが鍵となります。頻出範囲としては脳血管障害、神経変性疾患、てんかん、末梢神経障害が取り上げられる傾向にあります。神経変性疾患については難問が出題されることも多い単元です。
対策のポイント
- 錐体路・小脳・脳幹の障害部位と症候を神経走行を丁寧に追うことでリンクさせる。特に脳幹部の走行は複雑であるため、Wallenberg症候群の症候等は整理しておく。
- CT/MRIの読影をスムーズに行えるようにしておく。特に、MRIの読影は撮像条件によって異なるため注意する。
- 救急・リハ領域との統合関連付け:意識障害・けいれん・麻痺の部位に関しては丸暗記よりもおおよその構造理解を抑えてから暗記する必要がある。図や表などでデルマトームや支配筋肉を丁寧に整理することで確実に得点化可能。
第4位:消化器 ― 「画像+手技+疾患」が複合的に問われる
内視鏡画像、を始め、腹部CT、ERCP像など種々の画像問題の出題が特徴です。また、範囲も胃食道、大腸、肝胆膵と多岐に及ぶため、出題対象の疾患も多岐にわたります。疾患の種類が多く一見難解ですが、出題数が毎年安定しており、早めの対策で安定した得点源にすることが可能です。
対策のポイント
- 画像で判別できる問題が多いため、腹部CTや内視鏡像でおおまかな疾患、またその疾患に対しての治療法が出てくるようにする。
- 穿孔・出血・イレウスなどの緊急性の高い疾患は初期対応手順を明確に覚える。
第5位:小児科 ― 「正常発達」と「救急疾患」が高頻度
小児科は新生児・発達・ワクチン・けいれん・先天代謝異常などが特に近年のホットトピックです。特にワクチンや母子保健分野は公衆衛生とも関連する分野となるので、確実に押さえるようにしましょう。
対策のポイント
- 小児科では正常発達の出題が多いため、発達・成長曲線・体重増加の正常範囲を数値で把握する。
- 予防接種スケジュールの確認し、ワクチンの接種間隔・同時接種・禁忌事項を整理する。
- けいれん、川崎病、先天代謝異常は定型化してきているため、症候等を把握しておく。
盲点となりやすい”得点効率の高い科目”ランキング
次に紹介するのは、「出題数は少ないが得点効率が良い」=内容量の割に点が取りやすい科目です。
国試直前期の伸びしろ領域として要注目です。
第1位:医学総論(常識問題) ― 「サービス問題」で確実に拾う
倫理、チーム医療、感染対策、医師法関連など、基礎知識+常識で解ける設問が多い領域です。簡単であるためスルーしがちですが、正答率の高い問題を確実に拾う必要のある試験の性質上、絶対に落とせない問題ばかりです。
第2位:整形外科 ― 「画像+症候」を覚えれば点が取れる効率科目
メジャー科目と比して内容が少なく、頻出疾患(骨折・変形・関節炎)のパターンが決まっている傾向です。
レントゲン画像や症候など、1度整理すれば忘れにくいテーマが中心に構成されているため直前期の追い込みに最適です。
第3位:精神科 ― 「分類」と「薬物療法」で効率アップ
出題数は少なめですが、問われる範囲が限られているため得点源化しやすいです
特に、SSRI、抗精神病薬、気分安定薬など、精神科特有の薬剤の副作用(悪性症候群・高プロラクチン血症など)を本番前までに整理しておきましょう。稀に出題される倫理関連の問題は常識+臨床判断で大部分は対応可能です。
第4位:泌尿器科 ― 典型問題を確実に解答できるように
腎・前立腺・膀胱の3領域が中心で、その他マイナー科目と比較しても出題範囲が狭いです。
特に腎細胞癌、前立腺肥大症、尿管結石など、典型的疾患が多く短期間で得点化しやすい範囲となります。CT・エコー・造影などの画像所見と症状の対応を重視し、画像である程度の疾患名を推定できるようにしておきましょう。
第5位:救急 ― 「ABCDE」と「ショック対応」を正確に把握する
範囲は広いですが、問われる内容は意識障害(GCS、JCS)、呼吸・循環の初期対応アナフィラキシー、熱中症、中毒など非常にパターン化されています。
暗記ではなく、アルゴリズムを体系化して覚えることで、高得点が望める分野です。
特にCBTやOSCEとの親和性も高いため、実践的学習に最適です。
学習コスパの低い科目
血液、婦人科、皮膚科、眼科は出題数が少なく、問題1問あたりの学習負荷が高い傾向にあります。
もちろん国試において特定科目を捨てることはできないため、これらは直前期に詰め込むより早期から少しずつ触れておくのが得策です。短期間で得点を上げたい時期には後回しにせざるを得ない確率が高いです。
まとめ:科目別「量×効率」で得点を最大化する国試戦略
国家試験は「全科目満遍なく」よりも、普段の勉強を通じて出題の多い科目を確実に取る+直前期は効率の良い科目で補うのが現実的な戦略です。
時間は有限であるため、重い科目(公衆衛生・循環器・神経・消化器・小児)を軸に、盲点科目(総論・整形・精神・泌尿・救急)を短期間完成型の得点源として積み上げましょう。
本記事で紹介した高得点が狙える”出題頻度&盲点”ランキングを参考に、自分の学習計画を最適化し、効率的に合格を目指してください。

