医師国家試験対策の年間計画|現役生と既卒生の勉強時間とスケジュール管理の違い

医師国家試験学習管理

この記事でわかること

医師国家試験まで1年間の勉強計画を、現役生(6年生)と既卒生に分けて解説します。

  • 生活リズムと勉強時間の前提差を踏まえ、無理なく回せる現実的計画の作り方
  • 月別に目標を立て、系統だって学習を行うためのスケジュール

現役生・既卒生の違い ― 勉強時間と立場で変わる対策設計

現役生と既卒生は国家試験に使える勉強時間と立場によるメリット、デメリットが存在します。医師国家試験の学習計画は、教材選びよりも「時間の使い方の設計」で勝負が決まります。

6年生在学組

実習・試験・大学行事が入り、日によって勉強時間が変動します。まとまった時間が取りにくい一方、臨床現場に触れているため、症例ベースの理解が進みやすいという強みがあります。

既卒浪人組

可処分時間が大きく、毎日同じリズムで勉強を積み上げやすい反面、孤独でモチベーションが落ちやすい、試験本番の緊張に弱くなるといった弱点があります。

同じ1年計画でも、在学は様々なイベントの変動に耐える設計、既卒は1年間着実に継続できる設計が必要です。

年間計画の全体像(共通の骨格)― 合格を支える3本柱

どちらのタイプでも、合格に必要な要素は共通です。以下の3本柱を年間で回します。

1
過去問演習
国試は過去問類問の比重が高いため、周回で得点を安定させます。最低でも2周、できれば3周が目標です。

2
弱点補強
周回で見つかった穴を着実に埋めます。情報を増やしすぎず、誤答の原因を潰す意識が重要です。

3
模試と復習
模試は受けることより復習が本体です。時間配分、必修の正答率安定、禁忌の回避を心がけます。

この骨格は共通で、違うのは1日の設計と周回のスピードです。

6年生在学組:1年間モデル学習プラン(実習と卒試を前提に)

在学組の目的は、大学のカリキュラムによって変動する生活リズムの中でも「最低ラインの学習量」を落とさないことです。毎日長時間やるよりも、平日は細切れの時間で対策可能なものを行い、休日で長時間かけて行いたいものを集中させるリズムが安定します。

4月〜6月

土台作り(1周目の導入期)

目標は、主要科目の頻出範囲を一通り通すことです。

平日は、実習後に60〜90分を確保して、問題演習を少量でも継続します。おすすめは「毎日固定で解く数」を決める方法です。例として、QBや過去問を30〜40問、解説まで読むところまでを最低ラインにします。

休日はまとまった時間を取り、どうしても生じる平日の学習範囲の偏りを是正します。ここで科目の偏りを補正し、内科系を中心に進めます。

7月〜9月

1周目完走と弱点抽出(夏が勝負)

夏は卒業試験対策やマッチング対策など、現役生が最も忙しい時期です。様々な試験対策を兼ねて、可能なら1周目をこの期間で完走します。

この時期のポイントは、解説を読みすぎて進まないことを避けることです。国試は「理解の深さ」より「頻出の再現性」が先に必要です。誤答は原因だけメモして先へ進み、後でまとめて潰しましょう。

臓器別の頻出テーマを優先し、マイナーは薄く広くの対策で十分です。

10月〜11月

2周目開始(得点を作る時期)

2周目は、正答率を上げる工程です。ここからは、誤答ノートと必修対策を並走します。

現役生は卒試が絡むことが多いので、卒試対策と国試対策を分けすぎないのがコツとなります。卒試に出る範囲は国試でも頻出です。過去問を回しながら、卒試範囲の弱点補強を同時に行います。

12月〜1月

3周目の要素+直前整理

直前期は「新しいことを増やさないこと」が鉄則です。

必修は毎週問題に触れて得点を安定させ、禁忌は頻出のパターンを繰り返し確認します。

直前期は、過去に間違えた問題をピックアップして重点的に復習しましょう。模試の復習も、全問復習ではなく落とした問題と迷った問題に絞ります。

2月

本番前の最終調整

睡眠を優先し、午前に重い科目、午後に軽い復習にしましょう。前日は新規学習を避け、誤答ノートと必修の確認で終え、翌日に疲れを残さないようにしましょう。

既卒浪人組:1年間モデル学習プラン(長時間学習を前提に)

既卒の強みは、学習時間を確保できることです。ただし、長時間を毎日続けると燃え尽きます。1年計画では、ペース配分と体調管理が合否に直結します。

4月〜6月

1周目を高速で回す(基礎の再構築)

この期間の目標は、主要科目の1周目を形にすることです。1日6〜8時間を基本に、午前は問題演習、午後は復習と弱点補強に分けます。

既卒生は完璧主義が敵になりやすいです。解説を読み込んで進まないより、まず1周目を終えて全体像を取り戻す方が得点に直結します。

7月〜9月

2周目で得点化(正答率を上げる)

2周目は、間違えた問題を潰す時期です。誤答の分類をすると効率が上がります。

分類例として、知識不足、読み間違い、禁忌の見落とし、時間不足などが挙げられます。この分類を誤答ノートに反映させると、同じ失点を減らせます。

夏はマッチングなども相まって集中が切れやすいため、週1回は半日休みにして生活リズムを整えましょう。

10月〜11月

3周目+必修固定化

この時期は必修の失点を減らす方針で対策を進めましょう。必修の取りこぼしは本番でも精神的に追い詰められやすくなるため必修を毎日少しずつ触れます。

また、マイナー科目はまずは頻出テーマだけ拾うようにしましょう。国試は満点を狙う試験ではなく、合格点を安定して取る試験です。

12月〜1月

直前期モード(やることを削る)

既卒生は直前期に国試に対する不安で教材を増やしがちですが、ここで増やすと対策の方針がぶれてしまいます。

12月までには直前期の復習分野を固め、1月にそれらを重点的に対策するようにしましょう。

2月

本番の再現性を作る

過去問の見直しを行い、解ける問題を確実に取る練習をします。実際の試験時間に合わせて一般臨床や必修問題に取り組みましょう。

よくある失敗と対策 ― 国試1年計画で崩れるポイント

失敗1:教材を増やしすぎる
対策

教材は多くともメイン教材1つ+サブ教材2つほどに絞るようにしましょう。多すぎるとかえって焦りを生みます。

失敗2:1周目で止まる
対策

完璧を捨てて、とにかく1周目を終えるようにしましょう。国試は周回することが前提の試験でもあります。

失敗3:必修を後回しにする
対策

必修はボーダーラインが明確であるため、毎週確実に触れるようにしましょう。直前期だけで対策を行うのは極めて危険です。

失敗4:既卒生が生活リズムを崩す
対策

起床・就寝のリズムを崩さないようにしましょう。学習時間より一定のペースの確保が1年間の学習リズムに直結します。

まとめ ― 6年生・既卒生別 医師国家試験まで1年間のモデル学習プラン

1年計画の結論

現役生は平日の勉強は細かい時間で行えるものにとどめ、休日で思考を伴う作業を行うのが最適です。既卒生は長時間学習を前提にしつつ、生活リズムと休息を組み込んだ計画が合格への近道です。

共通して、過去問周回、弱点補強、模試復習の3本柱を年間で回し、直前期は新しいことを増やさず、誤答と必修を固めましょう。

著者プロフィール

東大医学部卒講師(現役医師)

略歴:

PMD医学部専門予備校およびCES医師国家試験予備校で講師として指導中。
医学教育・国試対策に関する豊富な実務経験をもとに監修・執筆を担当。