医学部に合格したらまず読むべき ― 留年しないためのリメディアル完全ガイド

リメディアルする学生のイメージ

推薦・総合型選抜生・理科が不安な新入生へ

医学部に合格すると、「これから6年間しっかり勉強しよう」と意気込む一方で、多くの新入生が早い段階でつまずくのが基礎科目(数学・物理学・化学・生物・統計学など)です。特に、推薦入試・総合型選抜で合格した学生、あるいは物理未履修・高校数学が不安な学生は、大学の授業スピードに追いつけず、結果として留年リスクが上がってしまいます。

そこで本記事では、入学前〜医学部1年生前期までに行うべき「リメディアル(学び直し)」の要点をまとめた総合ガイドをお届けします。これらを実践するだけで、基礎医学の理解力が大幅に向上し、安定したスタートを切ることができます。

1. 推薦入試・総合型選抜生のための「理科やり直しロードマップ」

理科のリメディアルのイメージ
推薦入試や総合型選抜入試では、高校理科の選択科目数が少なかったり、または共通テストレベルまでしか求められないケースが珍しくありません。そのまま大学レベルの基礎科目、ひいては生化学・生理学などの基礎医学に突入すると、理解が追いつかず「後期から失速する」学生が一定数存在します。必要なのは、大学科目と直結する部分から集中的に対策する、効率の良い理科の学び直しです。

▼ 最低限の復習範囲

生物:細胞・代謝・酵素・神経とホルモンなど、最低限人体、医学と関連のある分野から学習を開始しましょう

化学:酸塩基・pH・緩衝液・化学結合・反応速度は生化学等で集中的に扱われます。化合物の構造も重要であるため、有機化学、高分子化合物についても抑えておきましょう。

物理:電磁気学は生理学の膜電位の理解の際に重要です。原子物理も放射線医学の理解に重要な単元となります。

▼ 入学前〜1年生前期までの計画例

  • 入学前:基礎の全範囲を高速確認
  • 1年前期:生化学・生理の授業に合わせて不足部分を補う
  • 定期試験前:生物化学・物理の重要公式を整理

「全範囲を完璧にする」のではなく、大学の授業に必要な部分から逆算して復習することが効率よく高校範囲の理系科目を復習するコツとなります。

2. 医学部1年生のための「高校数学・統計学」ブリッジガイド

統計のリメディアルのイメージ
大学の医学統計や疫学では、高校数学の理解が必須です。特に、統計学基礎・確率・微分・積分などが苦手な学生ほど統計学で苦労します。

▼ 復習すべき数学のポイント

  • 確率・期待値(疾患の発生確率・スクリーニング検査に必須)
  • 対数・指数(pH、ウイルス増殖、薬物動態で必要)
  • 微分・積分(統計モデルにおいて重要。正規分布等の理解にも役立つ)

▼ 医療統計学へつながる主要な分野

  • 平均・分散・標準偏差
  • 二項分布・正規分布
  • t検定・χ²検定
  • 相関係数と回帰直線

医療統計学等で扱う特殊なモデルは現時点では必須ではありません。まずは高校数学レベルである正規分布等の理解が重要です。

3. 「物理未履修」でも生理学に追いつくためのリメディアル

物理のリメディアルのイメージ
物理未履修で医学部に入学した学生が最も苦戦するのが生理学や放射線医学です。循環・呼吸・神経は、物理法則を前提に理解が進む科目です。

▼ 医学部で必須となる物理の最小範囲

電気:膜電位・活動電位・イオンチャネル

原子物理:放射線医学全般の理解

高校物理全範囲をやり直す必要はありません。特に、医学部で扱う単元を優先的に学習すれば、のちの医学部での授業でも物理未履修で十分ついていくことが可能です。

▼ 学習ステップ

  1. まずは電磁気学、原子物理の基礎だけ先に押さえる
  2. 大学範囲の放射線医学などでは放射性崩壊や半減期などが問われやすいため、該当部分を先に学習しておく

物理を避けるほど生理学、放射線医学が難しくなるため、早期のリメディアルがその後の学習、理解に重要です。

4. 生物選択・物理選択別:解剖・生理につながる弱点補完チェックリスト

生物のリメディアルのイメージ
医学部では、高校での選択科目によって基礎医学科目の得意・不得意が大きく分かれます。弱点を把握しておくと、医学部入学前、入学後を通じて効率的に学習できます。

▼ 生物選択だった学生の弱点(物理系)

  • 膜電位の導出(ホジキン・ハクスレー式)や放射線医学、MRIの原理の理解がつまづきうるポイントとなる
  • 生理検査の検出原理(心電図・エコー)が理解しにくい
    → 生理学・放射線医学・医用工学が壁となりうる。

▼ 物理選択だった学生の弱点(生物系)

  • 酵素・代謝経路の理解が曖昧なまま生化学を履修しなければならない
  • ホルモン・免疫が理解しづらい。細胞間ネットワークは暗記になりがちとなる。
  • 細胞構造の記憶が薄い。
    → 細胞生物学・生化学・免疫学で失点しやすい

▼ 補うタイミング

先述した通り、医学部入学前にある程度の高校理科の知識はインプットしておくことが重要です。特に医学と関連のある分野は早期に予習・復習をしておきましょう。

  • 入学前〜1年前期に弱点だけ集中的に補強
  • 全範囲をやり直さず「医学の授業とつながる部分」だけ学習する

これにより、基礎医学の理解が一段とスムーズになります。

まとめ:医学部リメディアルは「点の補強」が進級を左右します

医学部の授業は高速で進むため、基礎科目の土台がないまま走り始めると後から取り返すのが非常に難しくなります。そのため、新入生が最初にすべきことは“足りない部分を正確に把握し、必要な部分だけ補う”ことです。リメディアルを行うことで、授業理解が大幅に改善し、定期試験・CBT・国試まで安定した学力を維持できます。

著者プロフィール

東大医学部卒講師(現役医師)

略歴:

PMD医学部専門予備校およびCES医師国家試験予備校で講師として指導中。
医学教育・国試対策に関する豊富な実務経験をもとに監修・執筆を担当。