【医学部で学ぶということ】臨床実習:第一外科
第一外科の実習が終わりました。
第一外科は肝胆膵グループ、上部消化管グループ、下部消化管グループ、胸部・乳腺・内分泌グループ、移植グループに分かれています。私は主に移植グループを見学しました。
移植グループは主に腎臓と膵臓の移植を行っており、腎移植は全国3位、膵移植は全国1位、と国内有数の実績を誇っています。
2つを同時に移植することもあります。件数では腎移植が圧倒的に多く、見学したのも2件の腎移植手術でした。
腎臓移植は、末期の腎不全の唯一の根治的な治療法です。腎不全の患者は、人工透析を受けています。透析には1回4~5時間もかかり、それを週2~3回行わなければなりません。合併症もあります。日常生活にかかる負担が非常に大きいため、多くの患者が腎臓移植を望んでいます。
腎臓に限らず、臓器を移植する際には、拒絶反応が起きないように注意する必要があります。誰の臓器でも移植できるわけではなく、自分と似た体質の人をドナーに選ばなければ、移植した臓器は異物とみなされ定着しません。条件が厳しいため、多くの場合親族がドナーとなります。
移植手術の際には、ドナーから腎臓を摘出する一方で、隣の手術室でレシピエントを開腹して準備しています。取り出された腎臓は氷水につけて運ばれ、すぐにレシピエントの体へ移植されます。
レシピエントの腎臓を摘出して置き換えるわけではなく、移植された腎臓は本来と異なる位置に取り付けられます。しかも驚いたことに、ドナーの左腎をレシピエントの右側に移植するのです。手術がしやすいことが理由なのですが、なかなか斬新な発想です。手術時間は摘出2時間、移植2時間程度でそれほど長くはありません。
日本では脳死移植が少ないこともあり、移植手術全般で件数が欧米に比べて少ない傾向があります。
日本の医療発展のためにも、生体資源を有効活用するためにも、移植がもっと増えればと思います。
次回は第一内科です。