【医学部で学ぶということ】臨床実習:耳鼻科
1週間の耳鼻科実習が終わりました。
市中の病院では中耳炎や感染症、めまいなどの治療が多いため、内科的なイメージが強い耳鼻科ですが、大学病院では内耳の手術や腫瘍の摘出などの外科手術がメインです。
耳の手術は2~3時間程度で終わる短めの手術が多いですが、舌癌などの腫瘍の手術は10時間を超える長い手術となります。
複数の手術室を回って、鼓室形成術(耳の奥を手術した後、耳小骨や鼓膜を再建する手術)や舌癌の手術(舌の一部を切除した後、大胸筋を舌に移植する手術)、顔面神経形成術(顔の神経が麻痺した患者に、脚の神経を移植する手術)などを見学しました。
耳鼻科の手術では、顔面神経(顔の筋肉を動かす神経)を傷つけてしまわないように十分注意する必要があります。この神経は耳の近くから放射状に顔全体に伸びているのですが、耳鼻科の手術場所になりやすい耳や耳下腺はちょうどこの神経の根本にあたる場所に存在しています。
神経をしっかり見分けて、傷をつけないように慎重に手術を行わなければ顔面神経麻痺がおこってしまいます。執刀医は電流を流してみて反応があるかどうかを調べながら、顔面神経を見分けていました。
しかし、難しい手術の場合にはどうしても傷ついてしまう場合もあります。上で挙げた顔面神経形成術は、術後に麻痺した顔面神経に脚からとってきた神経を移植し、他の神経とつないで機能を回復させる手術でした。
最近発表された手術法で、1例目とのことでした。整形外科医が脚から神経を取り出す一方、耳鼻科医が顔面神経を露出させていくというチームプレイが行われ、多くの先生が手術室に来ていました。
耳鼻科はいわゆるマイナー科ではありますが、扱う範囲が広く興味深い分野であると感じました。耳、鼻、口腔、咽頭など複数の器官・部位を扱う上に、内科的な治療、外科的な治療の両方を行います。感染症、腫瘍、神経病、など病態も様々です。医療のいろいろな部分を実践したいという欲張りな人にはおすすめです。医局内の雰囲気もとてもよさそうでした。
次は第三内科を回ります。糖尿病やバセドウ病、骨粗しょう症などの内分泌疾患や、肝臓病を扱う内科です。製薬会社の説明会で出る弁当がおいしいらしく、学生の間では「弁当の三内」という噂が。。。