医師国家試験までの効率的な勉強スケジュールと合格戦略

医師国家試験までの効率的な勉強スケジュールと合格戦略

はじめに

皆さんはフルマラソンを走ったことはありますか。

CES講師のなつです。医師国家試験はフルマラソンによくたとえられます。その理由は、まず準備期間が1年間と長い事、マッチングに卒業試験というチェックポイントがある事、そして途中脱落をしない為にはペース配分をよく考えなければならない事。

 

なるほど、そう言われればよく似ている気がします。その中でも特にペース配分、つまりスケジュール管理に関しては、本当に何よりも重要だったと今振り返っても思います。

という事で、今回は医師国家試験に関して、試験当日までの走り方を皆様に記していこうと思います。何かの足しになりますと幸いです。

 

医師国家試験対策の始まりは5年の春休みからである

皆さん、6年生の4月は国試まで1年、と思っていませんか。医師国家試験は1月末~2月の初頭ですから、4月からでは10ヶ月しかありません。

 

ですから、余裕をもって国家試験の対策をやりたいのであれば、可能な限り今年度の国家試験が終わった時点から始めておきましょう。そして、何を最初にやるかというと、まずスケジューリングからです。

まずは下の国家試験までの大まかなスケジュールをご覧ください。

2~3月 春休み(病院見学など)
4~7月 実習や対策授業、マッチング参加登録など
8月 病院の入職面接・試験
9〜12月 卒業試験
1月 各予備校の直前講習
1月末~2月頭 医師国家試験

 

ここで忘れてはいけないのは、マッチングの存在です。余程のこだわりと事情がない限り、皆様マッチングには参加されると思います。そうなると、コロナ禍明けの今後の状況としては、最低でも一施設一回以上は研修先として志望する病院に見学に行く必要があります。

またスケジュールには記載しませんでしたが、各予備校の実施する国家試験模試も年4回実施されます。そのスケジュールも加味して勉強をする必要性があるでしょう。

 

これらの前提条件を踏まえて、「内科全般」「小児・産婦」「マイナー科」「公衆衛生」を1日にどれだけ勉強をするか。これを計算する必要性があります。

次の項目からは、国家試験をどのように勉強し、いつまでに何をやっていけばいいのか、その大まかな目安をお話していきます。

 

まずは過去問、次にまとめノートの作成の準備

まとめノート

国家試験の勉強を始めるのであれば、まずは過去問から始めましょう。問題集ではありません。国家試験の問題を、3年分1回解きましょう。そして、採点しましょう。

お気持ちは分かりますよ。嫌ですよね。まだ勉強も始めていないのに、そんなの何の意味があるんでしょう。その理由を知りたいですよね。

 

何故そうする事をお勧めするかというと、これは自分の現在の実力を把握する為です。現在、自分は何が出来ていて、何が出来ていないのか。どれくらい出来ていないのか。出来ていないものの中でも、特に自分が苦手としていそうな分野はどれか。そう言った事を客観視する事から、勉強というのは始まるのです。凄くキツいです。自分のダメなところを直視しなくてはいけないですから。でも、それをやり遂げないといつまでも成績って上がらないんです。

 

じゃ、状況を客観視出来たところで、次に何をやるのが良いのでしょう。次は、内科です。可能であれば、予備校のビデオ講義をベースにして、まとめノートを自分なりに作成してください。できれば紙に書くのが良いです。

タブレットじゃダメなんですか? とよく聞かれるのですが、教育心理学の研究の結果、タブレットは瞬間的にざっくりとした知識を身に着けるのには十分ですが、集中力をもって細かい知識を定着させるのにはあまり向かない事が分かっています。

 

できれば春休み中までには過去問1年分は解き終え、まとめノートを手書きで作成していく準備を整え、まとめ始めておく必要があるので、春休みの間にできれば文房具屋で、文房具をしっかりと準備をしておいた方がいいと思います。

 

6年生開始後の勉強の感覚

さて、準備が出来れば、次にどの科目から始めていくかですが、できる限りまず内科を優先させてください。その理由は、何よりも国家試験で一番出題数が多いのが内科だからです。

内科のどの科目から始めるかについては苦手な順でも良いですし、予備校のビデオ講義の公開順でも良いのではないかと思います。そして、できれば内科は夏までにはまとめが終わるようにしておきましょう。多くの学生さんが夏までに内科を終えている印象でした。

内科が終わったら、次は夏中に小児・産婦、そして9-10月までにはマイナー科全般と公衆衛生を終えていたいところです。要するに卒業試験までに1周はちゃんと全ての科目の学習を終えるつもりで勉強をする事。これが重要です。

 

卒業試験に当たっては、別途卒業試験の過去問や対策をする必要もあるでしょうが、それも今までやった勉強にプラスαをしていくという感覚で対策をすれば十分だと思います。

10月以降は何をするかというと、各予備校が出している直前期対策のビデオ講座を視聴してまとめノートにプラスαをしていきつつ、解いた過去問や予備校の国家試験模試で間違えた問題を見直し、一問一答ノートを作成していく。この流れを辿る事が一般的です。

 

そして最後に、1月の予備校の直前講習を受けて、本番。ここまでが合格者が最低でもやっている勉強だと思います。

ガイドラインの解析をすることを勧める人もいますが、ガイドラインの解析は各予備校の講師がやった上でビデオ講義を行っていますので、省略は可能だと思います。余裕がある人はやってもいいかもしれません。

 

国家試験模試って受ける意味があるんですか?

模試

国家試験模試は受けても意味がないのではないか、という質問をしばしば受けますが、そんなことはありません。模試は自分の勉強の指標になりますし、ガイドラインに新規追加された分野も問題として出題される為、自分の知識の漏れを網羅するのに非常に役立ちます。

 

ただし、秋の模試は一般的にどこも高難易度の問題が出題される傾向にある為、秋の模試に関してはあまり点数が取れなかったからと言って、気にする必要性はないのかと思います。かと言って、それは受けるなという意味ではありません。場慣れという意味合いもありますから、模試はちゃんと受けておきましょう。

 

どこの予備校の模試でもよいとは思いますが、周りの人たちが受けている模試は最低でも受けておいた方がいいと思います。

周りの皆の勉強から外れた行動を取らない事。これが、国家試験合格では一番大切です。

 

問題集を解く必要性は?

問題集

問題集に関しては、正直必須ではないと考えます。

その理由としては、予備校のビデオ講義の中でも良問はセレクトされて公開されておりますし、問題集では良問も悪門も全部ない混ぜになっているからです。

少なくとも、僕は問題集は買っていません。問題集を解くならば、予備校のビデオ講義のテキストに掲載されている問題をチェックしていました。

 

余裕がある人は解いてもよいのでしょうが、正直なところCBTと国家試験はその性質が異なっています。CBTは情報処理能力を求められるところがありますが、国家試験はファジーな、現場判断能力を求められる傾向がありますので。

なので、現場判断力を高めたいのであれば、予備校のビデオ講義をしっかりと聞いて、臨床医のマインドを学んだ方が合格にはつながりやすいのではないかと、そう思います。

 

終わりに

医師国家試験の対策について解説させていただきました。

色々な人が色々な事を言っていますが、そこを抽象化していくと上記のような勉強のスタイルに帰着する事になるでしょう。

本当に色々な人が最低でもこれだけの勉強はしていますので、できない、は通りません。国家試験に通りたいのであれば、血反吐を吐きながらでも最低限これだけの勉強を効率よくやる必要性があるのです。

最後に非常に厳しい言葉になりますが、あなたはこれから何年掛けて国家試験に合格する計画なのでしょう。そこを考えて、今年の勉強に挑まれてください。

 

それでは、今回はこの辺で。


著者プロフィール

CES医師国試予備校 講師

市中病院勤務の脳神経内科医。趣味は釣りと小説と東洋医学。臨床をこなしながら、CES医師国試予備校で講師として「アウトプットする授業」をモットーとして学生の指導に当たっている。