【医学部で学ぶということ】定期試験について
多くの学科と同様に、医学部でも試験があります。ただし、他の学科と比べると、覚えることが非常に多いです。
医学部に通っている先輩から、受験勉強よりもずっと厳しいよ、と聞いたことがある受験生諸君もいるかと思います。今必死に勉強している受験生たちからすれば、これ以上どうしろと、と思うかもしれません。結論から言えば、覚える量はとても多いけどなんとかなる、です。
覚えること・理解することの量は受験勉強よりはるかに多いです。大体、1学期に5~10科目程度試験があって、そのひとつひとつが受験における地理や歴史などの社会系科目に匹敵する分量なのです!試験期間が1週間とかにまとまってたりすると、とんでもないことになります。じゃあみんな落第ばかりかというと、実際はそうではありません。なぜでしょうか?実は、試験の一部(先生によってはほとんど)は過去問と大体同じ問題だからです。
試験前になると、どこからともなく過去問が出回り、クラスが一致団結して試験を乗り切ります。医学部のクラスのチームワークは本当にすごく、先輩から回ってきた過去問とその答え、試験のヤマ、字がきれいな人の授業ノート、授業スライドを全部カメラで撮影した画像(!)、などがSkydriveで共有されて全員が見れるようになっています。そして試験中は、全員で分担して問題を記憶し、問題を再現します。3、4年の授業の試験は6年生の卒業試験の問題と同じか似てる場合が多いので、再現された過去問は6年生へと送られます。その問題を5、6年生が分担して解答を作成し、自分たちの勉強に役立てると同時に、過去問集として後輩へ残すのです。学年を超えた見事な連携です!さらに、試験結果が掲示されるとはじめに見た人がクラス連絡用のラインにその写真を載せてくれて、全員に共有されるのです。チーム医療の訓練は学生時代から行われているわけです。
もっとも、中には問題を完全に変えてくる先生もいて、撃墜王として恐れられることになります。先生が退官して、新しい先生に交代したときも、その学年の人たちの多くが犠牲になります。(広島大では神経解剖学の先生が変わり、本試合格者わずか6名、残り120人が追試になるも全員不合格という前代未聞の事態が起きました!)
過去問に頼った勉強法には反対意見もある一方、分量を考えればやむをえない面もあります。テスト前に教科書を1ページ目から読み始める生真面目な学生たちは、勉強法の見直しを迫られます。今教壇に立っている先生たちの多くが、自分たちの時代と比べてテキストの厚さが何倍にもなった、と言っています。分野の細分化・専門化が進んだことで、学習すべき内容が大幅に増えたわけです。あれほど多く感じる授業で習う事項も、各分野においては基礎中の基礎に過ぎません。それだけ医学が進歩したことは喜ばしいですが、学生の身からすれば、昔の医学生たちが少しうらやましくもあります。
ともあれ、受験勉強に比べれば、学校の定期試験はプレッシャーも少なく、気楽なものです。受験生諸君は、入学してもまた勉強漬けかー、と悲観せず、希望をもって頑張ってください。