【医学部で学ぶということ】臨床実習:第一内科

 

2週間の第一内科の実習が終わりました。

第一内科は循環器グループ、血液・腫瘍グループ、免疫・膠原病・感染症グループに分かれています。私は循環器グループで実習しました。

 

循環器グループは、心臓や血管の病気を治療するグループです。主な病気としては、狭心症、心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心筋炎、大動脈瘤、血栓症などがあります。こうした病気の多くに、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病が発症に大きくかかわっています。

 

 

近年はカテーテル治療が盛んに行われるようになっています。

ひと昔前であれば、全身麻酔下で胸部を開き心臓を止めながら行う大手術を行わなければ、心臓病の治療を行うことができませんでした。それが今では、太ももや腕の血管からカテーテルという細い管を通し、これを心臓までスルスルと持って行って治療を行うことができます。

狭まってしまった血管をバルーンで広げたり、ステントと呼ばれる金属チューブを設置して広げたり、悪くなった弁を置換したり、不要な筋線維を焼いたり、と様々な治療を行うことができます。

局所麻酔なので患者側のリスクは小さく、時間も1~3時間くらいの短時間の手術で済みます。傷が小さいため術後の回復も早いです。カテーテル治療は内科医も数多く行っており、循環器分野は内科と外科の境界が狭まりつつあります。

 

 

実習ではTAVIと呼ばれる、悪くなった心臓の弁を人工弁に置換する手術を見学しました。

ごく最近に行われるようになった最先端の手術で、手術室には多くの医師や学生が詰めかけていました。大動脈を通って心臓にカテーテルを持っていき、そこで人工弁を設置するのですが、大動脈は血流が非常に速いので正しい位置に設置するためには高い技量が必要です。

騒がしかった手術室が設置の瞬間には静かになり、モニタリング装置の機械音だけが鳴る中で、全員が固唾を飲んで術者を見守ります。見事設置に成功した瞬間には歓声に沸くと思っていたのですが、そうではありませんでした。

というのも、設置した人工弁がポロッっと取れて心臓に入ってしまうことがあり、まだまだ安心できないからです。もし外れてしまったら、開胸手術をして取り出さなければならないので、心臓外科医がスタンバイしています。(もちろん、そうなることは少ないです。)

 

 

昔は開胸や開腹が必要だった手術が、カテーテル治療や内視鏡治療などにより小さな穴をいくつかあけるだけで行えるようになってきています。傷が小さく、治りも速いため、患者には大きなメリットがあります。医学の進歩はすごいですね。

 

 

次は眼科です。

 

 

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