【医学部で学ぶということ】臨床実習:総合診療科

 

総合診療科の実習が終わりました。

 

総合診療科というのは、一言で言えば、病気全般を見る科です。

現在では内科も外科も専門化が進んでおり、医師たちはより深く専門分野を追及する一方で、専門外の知識が乏しくなりつつあります。また、専門が分かれて組織が分割されてしまうと、連携力が弱まってしまいます。

一方で、どんどん増加している高齢者たちは様々な病気を合併することが多く、それらをトータルに診療する医師が必要となります。患者にとっても、あちこちの診療科をはしごすることは負担となります。

こうした背景から、近年総合診療医の需要が高まりつつあります。病気全般を診れるというカッコよさも相まって、医学生の間でも興味を持っている人が多い気がします。

 

 

実際に外来実習をしてみると、複数の疾患を抱えている高齢者や、何が原因かはっきりしないが体調が悪い人(不定愁訴)、他の診療科での治療が上手く行かなかった人などが多く訪れていました。

体の調子を整えて全身状態の改善によって病気を治す、という漢方の考え方との親和性も高く、漢方治療が積極的に行われていました。

複数の疾患を抱える人は、西洋薬で治療すると多くの種類の薬を飲まねばならず負担が大きいですが、効果範囲の広い漢方薬だとそれより少ない種類の薬で治療することが可能です。

 

 

入院患者では、不明熱(その名の通り原因不明の熱)やHIVの患者が多くいるのが特徴でした。HIV感染によって引き起こされるAIDSは、免疫力が低下していろいろな感染症にかかりやすくなる病気です。

こうした性質と、HIV自体の感染力が弱いため特別な隔離が不要であることから、感染症内科ではなく総合診療科で治療することになっているようです。

 

これから高齢化が進むにつれて、総合診療医の重要性はますます大きくなっていくと思われます。

新しい専門医制度では一度総合診療医への道を選ぶとつぶしが効かないのが難点であるものの、将来有望な選択肢であると言えます。

 

 

次は第一外科です。

 

 

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