【医学部で学ぶということ】漢方医学について

漢方と聞くと、マイナーなイメージを持つかも知れません。確かに日本では西洋医学が主流ですが、実は日本で働く医師の9割近くが、漢方薬を処方した経験があるといわれており、意外と良く使われています。近年では多くの大学が、漢方医学の授業を行うようになってきています。僕の学校でも、ついこの間まで授業がありました。今日は、そんな漢方についてです。

 

漢方とは、漢方薬の処方による内科的治療を行うものです。脈や舌、腹などを、目で見たり、触ったりして病状を判断し、それにあった漢方薬を処方します。日本では主に、漢方は西洋医学に足りない部分を補う形で使われています。漢方薬は、西洋医学で有効な治療方法がない症状(冷え性など)に使われたり、副作用が少ないことから薬剤アレルギー患者や虚弱者に使われたりします。漢方薬は、さまざまな生薬を主にお茶のように煎じて飲みます。じわじわ効くイメージがあるかも知れませんが、15分程度で効果を示すものもあり、意外と効きは速いです。

 

漢方は2000年前に中国で生まれました。伝統的な医療というのは中国に限らず世界各国に存在しましたが、漢方が他と違ったのは、その完成度の高さです。最初期(200年頃)に書かれた書物に、葛根湯をはじめとした現在でも広く使われる優秀な薬が数多く記されていた、というのは驚嘆に値します。その頃日本は弥生時代で、布に頭を通す穴を開けただけの服を着ていました。いかに漢方が進んでいたかが分かります。世界各国に数多く存在した伝統医療・民間医療が、西洋医学の発達とともに下火になっていく中で、漢方だけはその信頼と実績で今日まで生き残ってきたのです。

 

僕は今年、部活で中国に中医学(日本でいう漢方)の見聞に行ってきます。中国では内科医の3分の1は中医学を専門としているほど、広く支持されています。日本と異なり、大学や医師免許も、西洋医と中医師で独立して存在しています。中医学を専門とする大病院もあり、内科はもちろん、外科や産婦人科、耳鼻科など、なんでもあるそうです。奥深い本場の漢方を、じっくり見てきたいと思います。

 

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