医師初期研修とは?学ぶべきスキルと後期研修選びの重要性
医師としての第一歩となる初期研修は、実践的な臨床能力を磨き、将来のキャリア形成の方向性を探る大切な時間です。
さらに、その後の後期研修の選択は、専門性を深める道筋を決める重要な決断となります。
本稿では、初期研修の概要と学ぶべきこと、そして後期研修を選択する際の注意点について詳しく解説します。
① 初期研修の概略
現行の初期研修制度は、医師免許取得後に全ての医師が2年間受ける義務的な研修で、幅広い診療科を経験することで基礎的な臨床スキルを習得します。
厚生労働省の定める必修科目は以下の通りです。
内科 | 6か月以上 |
救急科 | 3か月以上 |
地域医療 | 1か月以上 |
外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科 | 各1か月以上 |
これらの科目は、医師として患者を総合的に診る能力を養うために設定されています。加えて、自由選択枠で自分の興味のある分野を学ぶ機会もあり、バランスよく臨床経験を積むことが可能です。
このような多様な経験を通じて、医療現場での基本的な対応力を身につけることが求められます。
② 初期研修で学ぶべきこと
内科と救急を学ぶ
初期研修の中で特に重要なのが内科と救急の学習です。内科は、患者の全身管理の基礎を学ぶ場であり、多くの疾患の病態生理や診断方法を理解します。
例えば、発熱や倦怠感などの曖昧な症状を精査するスキルは、どの診療科でも活用できる普遍的な能力です。慢性疾患の管理も学ぶことで、患者の長期的な健康管理に寄与する力を養えます。
病院の仕組みや業務フローを理解する
病院は、医師だけでなく看護師、薬剤師、検査技師、事務スタッフなど多職種が連携して運営される組織です。初期研修では、診療の流れや業務フローを理解することも重要です。
例えば、診療記録の作成、検査の依頼、手術や処置の準備といった日々の業務の進め方を学びます。
コミュニケーション能力
医師にとって、コミュニケーション能力は診療技術と同じくらい重要です。患者やその家族に病状や治療方針をわかりやすく説明し、安心感を与えることはもちろん、同僚や他職種との協働も不可欠です。
お金の勉強
初期研修は、医師として初めて安定した収入を得る時期でもあります。このタイミングで金銭管理や税金、社会保険の基本を学ぶことが将来の資産形成に役立ちます。
さらに、投資や資産運用の基礎知識を得ることで、長期的な財政的安定を目指すこともできます。忙しい医師生活の中で、計画的に財務管理を行う習慣をつけることが大切です。
③ 後期研修を選択する上で気をつけること
自分の人生において何に重きを置いているのか
後期研修を選択する際は、自分自身の価値観やキャリア目標を明確にすることが大切です。
例えば、「専門医資格を取得して高度医療を追求したい」「地域医療に貢献したい」「研究や教育に携わりたい」など、何を優先するかによって選択肢は大きく変わります。
加えて、どのような職能を身につけるかを考えることも重要です。専門性を磨くことで、自身のスキルが医療現場でどのように活かされるかを明確にイメージし、キャリア選択の指針とすることが求められます。
ノリで決めるのではなく、徹底的に調べていく
後期研修の選択は、その後のキャリアを左右する重要な決断です。病院見学や説明会に積極的に参加し、実際の雰囲気や教育体制を確認することが欠かせません。
情報をたくさん仕入れて決める
選択肢を比較する際には、できるだけ多くの情報を収集しましょう。公式情報だけでなく、口コミや第三者の意見も参考にすることで、より客観的な判断が可能になります。
決めきれない時は消去法で決めるというのもあり
どうしても選択肢を絞り切れない場合は、消去法を活用するのも有効です。自分が合わないと感じる点を基準に選択肢を排除していくことで、最適な選択が見えてくることもあります。
初期研修は、医師としての基礎を築く期間であり、内科や救急を中心とした幅広い学びが求められます。さらに、病院の仕組みやコミュニケーション能力、金銭管理の知識もこの時期に磨くべき重要な要素です。
一方で、後期研修の選択は慎重に行う必要があります。自分の価値観を基準にし、多くの情報を収集しながら計画的に選択を進めることで、充実した医師人生を築くことができるでしょう。