医師国家試験とマッチングの優先順位は?医学部6年生の年間スケジュールとケース別対策

医師国家試験とマッチングの優先順位のイメージ

医師国家試験の学習が本格化する医学部6年生で避けては通れないのがマッチングです。国試対策や卒試の対策と同じ時期にマッチングが重なることから、

  • 「マッチングの準備をいつから、どこまでやればいいのか?」
  • 「国試の勉強と両立できるか?」
  • 「いつから国試一本化すべき?」

と悩む学生が非常に多いです。

実際、6年生の春〜夏にかけてはマッチングの病院見学・志望動機作成・面接練習と、国試の過去問演習が同時進行となり、勉強の優先順位を誤るとどちらも中途半端になりかねません。

この記事では、医学部6年生においての正しい優先順位づけと、ケース別のロードマップを提示します。

結論:6年生は「マッチング → 卒試・国試」の順で集中期間を分ける

――マッチングと国試はどちらを優先すべき?

まず最初に結論から述べると、

6年夏まではマッチングをなるべく優先、秋以降は国試を主軸にシフト。11〜12月の卒試が終了し次第国試一本化

というのが最も安全で、過去の合格者でも再現性の高いスケジュールです。

6年生の年間スケジュール(標準モデル)

――医学部6年生の”正しい優先順位のつけ方”

6年生の一般的な流れは次のとおりです。

4月〜6月:マッチング(病院選び・見学・志望動機)を優先

この時期に力を入れるべき理由:

  1. 見学可能なのは春〜夏が中心(病院側の受入体制にも左右される)
  2. ES・志望動機の作成・添削に時間がかかる
  3. 病院別の面接準備も想像以上に負担が大きい
  4. 国試はここで無理に詰め込まなくても間に合う

国試は1日1〜2時間の維持学習(QBテーマ別・必修)で十分です。ただし、筆記試験のある病院を受験する場合は、その対策も兼ねて国試の演習時間をある程度確保するようにしましょう。

7月〜8月:マッチングの受験対策が最優先であるが、卒試・国試対策も開始すべき時期

この時期から力を入れるべき理由:

  1. 7〜8月はマッチング本番の時期であり、筆記試験を課している有名病院も多い。そのため、筆記試験対策に多くの時間が割かれることとなる。
  2. 大学によって卒業試験が8・9月にあることもあり、マッチング後は速やかに卒業試験対策に踏み切る必要がある。
  3. マッチング試験、卒業試験ともに医師国家試験対策が根底にあるため、夏の早めの時期から国家試験問題を演習する必要あり。

この時期からは試験が連発することもあり、国家試験含め対策に本腰を入れる時期となります。国家試験対策はもちろんのこと、マッチングの筆記試験対策や卒業試験対策が重なるため、なるべく演習範囲を重複させながら効率よく勉強を行うようにしましょう。

9月〜10月:卒業試験対策本番+国試の基礎固め

この時期のポイント:多くの人がマッチング終了となりますが、多くの大学で卒業試験本番を迎え、非常に忙しくなる時期です。

そのため、卒業試験対策を本格的に開始するとともに、国家試験対策は過去5年分の演習を中心に以下の優先順位で行うようにしましょう。

① 主要疾患の過去問(心不全・肺炎・糖尿病・甲状腺など)

② 必修(医療安全・感染対策・初期対応)

③ テーマ別に知識の骨格作り

あくまで卒業試験対策が中心となる時期であるため、国家試験対策は「全範囲をやろうとしない」ことが重要です。

11月:マッチング終了 → 国試に一本化

マッチングの結果が出た11月以降は、2次マッチングを行う方を除き国試1本に切り替えるのが必須となります。

ここからはほとんどの医学部生が国試対策に集中するため、気を緩ませると学習量が不足し、相対的に成績が降下することとなります。

特に行うべきは:

  • QB 3〜4周目
  • 臨床問題の演習量アップ
  • 苦手テーマの総復習
  • 必修の総仕上げ

など、国試の不合格リスクを最小限にする演習です。この時期に苦手分野や重点的に学習する分野を仕上げたり、1月に再度復習できるように絞り込んでおきましょう。

12月〜1月:国試総仕上げ期(年度別演習へ)

ここからは本番形式の年度別を中心に、

  • 時間配分
  • 実際の問題セットでの処理演習
  • 正答率の安定化

を行っていきます。模擬試験等も活用し、実際の試験環境の再現や時間配分、マークシートの記入練習等を行っていきましょう。同時に、国試本番に向けて最後の穴埋め期間となります。自身の苦手範囲や本番までに絶対に確認したい事項等を最優先で処理し、残りは全体的な演習を行うことで特定の範囲に偏ることのない演習が可能となります。

【ケース別】マッチングと国試の優先順位のつけ方

――ケース別ロードマップ

全員が国家試験を受験するとはいえ、全員が同じマッチングスケジュールとなる訳ではありません。安全圏の病院のみを受験する方もいれば、倍率の高い病院を多く受験する方もいます。以下のケースごとの判断基準を提示します。

ケース①:マッチングの志望病院が”人気・激戦”の場合

春〜夏はマッチング優先。国試はマッチングを見据えてかなり早い段階から対策を開始。

人気病院は

  • 見学回数
  • 志望動機の完成度
  • 筆記試験、面接試験の結果

が選考に直結します。

国試は筆記試験が課される状況を加味し、可能であれば春休み頃から

  • 必修
  • 主要疾患の基礎理解

の最低ラインを確実にしましょう。筆記試験では国試の過去問が流用されることが多く、また筆記試験対策にも最低限の知識が必須であることから、国家試験の早期対策は効果的となります。

ケース②:マッチング志望病院がほぼ確実に内定を貰えそうである病院である場合

春から卒試・国試対策を優先してよい。

特に、自大学病院志望などでマッチングでの内定がほぼ確実な学生は、早期から卒試・国試対策を優先にしてもマッチングそのものには影響がありません。

むしろ、卒試・国試対策を早期に始めることで秋以降にアドバンテージを得やすくなります。

ケース③:国試の基礎学力に不安がある場合

春の時点から”国試:マッチング=6:4″にする。

たとえば:

  • CBT時点での成績が危うい
  • 模試でE判定
  • 留年歴がある
  • 再試験に引っかかりながらも進級した

こうしたケースは、マッチング対策をしすぎると卒試・国試対策がおろそかとなりがちで留年・国試浪人のリスクが上がります。そのため、マッチングも重要ではありますが、ES・面接対策は最低限にし、国試の土台作りに時間を多く割くべきです。2次・3次マッチングでも募集病院が存在するため、6年生時点では卒業・国家試験合格を最優先目標としてマッチングを行うようにしましょう。

まとめ:マッチング、国試優先順位は受験病院、6年生時点での成績により柔軟に決定すべきものである

マッチングも国試も、どちらも医学生にとって大きな通過点です。しかし最終的に医師になるためには、国試に受かることが絶対条件です。そのため、マッチングはもちろん重要なイベントではありますが、卒業、並びに国試合格を最優先事項としてマッチングを行うようにしましょう。以上を意識して取り組むことでマッチングも国試も両方成功できます。

著者プロフィール

東大医学部卒講師(現役医師)

略歴:

PMD医学部専門予備校およびCES医師国家試験予備校で講師として指導中。
医学教育・国試対策に関する豊富な実務経験をもとに監修・執筆を担当。