【現役医学部生のブログ】医学部生の生活:二年生

二年生に入ると、本格的に医学部の勉強が始まります。体の中での代謝や反応を化学的な視点で学んだり(生化学・生理学)、体の組織やその発生をミクロ・マクロの両面から学んだり(組織学・解剖学・発生学)、外からの侵入者やそれに対抗するシステムを学んだり(細菌学・ウイルス学・寄生虫学・免疫学)し、その他にも、遺伝のシステムを学んだり(遺伝学)します。

 

二年生で学ぶ可能性のある学問は上記の通りですが、やはり皆さんが気になるのは解剖学でしょうか。では、世間で抱かれている誤解を解きつつ解剖学の実際について説明していきましょう。

 

そもそも、解剖学にて教材として使用されているご献体は、生前のご本人の意志に基づき提供されているもので、どこかの誰か分からないような人を引っ張ってきて勝手に解剖しているわけではありません。過去には「壁に耳あり」事件などもありましたが(詳細は記載したくありませんので、気になる方は検索して下さい。)、基本的に全ての大学で、ご献体は神聖なものであるという意識をもって解剖に取り組んでいます。

 

さて、それでは実技の部分に進んでいきますが、多くの学校では解剖は数名で一つの班になり、一つの班に対してご献体一体という構成で進められます。皮膚をメスなどで剥離し、血管や神経の走行を学んだり、筋肉や腱、靭帯がどこから始まりどこにつながるか等を学んだりしす。なお、防腐剤は血管を通して全身に注入するので、メスで皮膚を切っても出血はしません。その後、解剖が体の深部にまで進むと、骨や内臓が表れるので、骨の構造や、内臓はスライスをしてその断面を観察したりします。顔や脳までも解剖して理解を深めた上で、最終的にはご献体は完全に部分ごとに分離することになります。

 

実習が完了すると、ご献体は出来るだけもとの状態に近づけた上で(縫合などはしませんが、正しい配置に出来るだけ戻します。なお、これまでに本体から分離した非常に細かい皮膚や組織なども可能な限り回収しています。)葬儀を行い、ご家族だけでなく、学生もそれに参加し、感謝の意をご家族にお伝えします。

 

以上の様な流れで行われる解剖学は、医学生にとって本当の意味での最初の一歩であり、自覚と責任を育む貴重な機会ということになります。

 

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